地元・早稲田の優勝シーンを見に来たのであろうファンを前に、しかし堂々とオーバーパワーした東洋。彼らに「消化試合」はない。


平成30年度関東大学リーグ戦 1部A順位決定リーグ

2018.11.23 東京都西東京市・ダイドードリンコアイスアリーナ

早稲田 2(0-1、0-2、2-3)6 東洋


行楽日和の3連休初日、普段より多めの観衆。地元・東伏見の早稲田の優勝シーンが見られると思って来場したファンも多かっただろう。しかし、試合を通して印象的だったのは、東洋の地力、実力。首位を走る早稲田を相手に終始、優位を保っての完勝だった。

試合前の整列を経てのスケート、円陣。早稲田の選手からはよく声が出ており、円陣の空間もいつも以上に狭く、熱かった。しかし、パックドロップ後の動きが、いかんせん硬い。そんなぎこちない空間の中、青のユニフォームが先にネットを揺らす。4分、Oゾーン右からゴールへ向かいながらFW石橋拓実(2年)がミドルシュート。1年生の久米誠斗(1年)とともに1つ目に抜擢されたウイングが結果を出した。

「切り替え! 切り替え!」。先制された早稲田ベンチから声が飛ぶが、ペナルティもあって流れをつかめない。その後は双方ともゴールは生まれないもののスピーディーかつスリリングな展開が続き、「次の1点」がどちらに入るのか、なかなか読めなかった。

はたしてスコアボードの数字を書き換えたのは東洋だった。2ピリ6分、左コーナーからFW清水怜(2年)がゴール正面へパスを送り、FW阿部魁(4年)がたたいて2点目。9分には、DF渡邊亮秀(4年)がゴーリーに当てながらもそのまま押し込む豪快なゴールを決め、3-0とする。3ピリ4分、早稲田が反撃の1点を奪うと、東洋ベンチはすぐさまタイムアウト。特にこれといった指示はなく、シチュエーションとしては非常に珍しかったが、早稲田に反撃の火がつきかけたところに水を差す、絶妙な効果があった。東洋は11分、PPを利してエースFW所正樹(3年)がスコア。この時点で勝敗の行方を決めてしまった。

東洋はこのリーグ戦の優勝の可能性がなくなったことで、ユニットをシャッフルしている。これまで下のセットだった選手、控えに回ることが多かった選手にチャンスを与え、ケガで欠場していたFW柴田嗣斗(4年)、武部虎太朗(2年)も徐々にではあるがコンディションを取り戻している。優勝争いという観点からいえば消化試合には違いない。それでも選手にとっては、今後のチーム内の立ち位置を決める上できわめて大事な期間になっている。

一方の早稲田。相手があってのことだから負けたのは仕方がないにしても、この大一番で「らしくない」場面が多かったのは気になる。足を使うことでここまで勝ち続けてきたのに、この日は局面、局面でアウトナンバーできず、F1がエントリーしてもレシーバーがいない場面が再三あった。イラついて相手を追いかけ回したり、3ピリ残り2分で連続失点したりと、この日にかける気持ちが大きかったぶん、下降したメンタルがプレーに出ていた。

クレバーな選手が多い早稲田だけに中1日挟んでの最終戦には修正されるだろうが、それにしても東洋の集中力の高さは評価されるべきものだった。自らは優勝の可能性がなくても、優勝戦線に確かな足跡を残す、東洋にとってこの秋ベストともいえる試合運びだった。

東洋・鈴木貴人監督

「これまではブレークアウトの場面で早稲田のプレッシャーに引っかかってきましたが、今日はいいブレークアウトからいい攻めができたし、ニュートラルゾーンでのリグループもよかった。ゲームプラン通りの試合ができました。この(順位決定リーグの)3試合はインカレに向けて大切な試合。誰が試合に出てもおかしくないし、いい競争ができている。今日(東洋が)負けると早稲田の優勝が決まることは知ってはいましたが、とにかく今日の試合に勝つこと(を考えていた)。早稲田の優勝を阻止しようというのは頭にありませんでした」

早稲田・内藤正樹監督

「優勝のプレッシャー、緊張感…自分たちがやるべきことに集中できていなかった。すべての面で、東洋のほうが気持ちが入っていました。最後の連続失点は、気持ちが切れていた。春の大会のころの早稲田に戻っていましたね」

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