終了のブザーとともに「値千金の引き分け」を喜んだ三井物産。優勝は逃したものの、2位で会長杯の出場権を手にした。


平成30年度東京都社会人選手権 Sリーグ・プレーオフ

2018.11.29 東京都西東京市・ダイドードリンコアイスアリーナ

伊藤忠商事 1(0-0、2-1、1-2)3 三井物産


予選リーグの戦績は2-5で伊藤忠。それでもこの日は、チームとしての連携が光った三井物産がドローゲームに持ち込み、3月の会長杯への出場を決めた。

中盤まで互角の展開。個人技に優れた伊藤忠と、チーム力の三井物産という試合運びで最初のピリオドを双方無得点で終える。試合が動いたのは2ピリ。1分にFW金子直樹、11分にFW岩見卓朗がゴールネットを揺らし、伊藤忠が前年王者の貫録を示す。

それでも、ここから三井物産が粘りを発揮した。2ピリ16分からの5人対3人を生かし損ねた…と思わせたところで、18分に元クレインズDF蛯名正博が反撃を告げるゴール。3ピリ0分にはFW東峰拳が個人スキルを生かして同点弾、6分にはFW木村彰吾がゴールを決め、なんと3連続得点で試合をひっくり返した。

しかし、さすがは伊藤忠だ。14分、FW安藤直哉がゴール正面からほれぼれするようなロングシュートを決めて3-3。やはり、個々の選手の持つ技量は高い。さらに17分からは、願ってもないPP。しかしここは、三井物産の必死の守りの前にそのままのスコアで終了のブザーを聞いた。

試合が終わった瞬間、アリーナには三井物産の歓喜の声が響き、伊藤忠は静かにその時をかみしめた。三井物産は2位ながら、東京では2チームに与えられる「会長杯」への出場権を手にしたが、はたから見ればまるで優勝を決めたような喜びようだった。一方の伊藤忠とすれば、優勝はしたものの全勝でリーグを終えられなかった悔しさもあっての「沈黙」だったのだろう。それもまた彼らの矜持、求めているもののレベルの高さを感じさせた。

三井物産には蛯名、そして元王子のFW角舘信恒というアジアリーグでプレーしていた選手が加入した。しかし、彼らの力に頼るのではなく、彼らが周りの選手の力を引き出していることで、チームの地力が足し算ではなく掛け算になった印象を受けた。1本のゴールを全員で喜び、氷の上からもベンチからも声がたえないチーム。3月の岡山でも、きっと観客に好感をもたれるはずだ。

2点を先行し、試合を優位に進めた伊藤忠。この試合は引き分けに終わったが、12月以降も積極的に遠征、合宿をこなす予定で、会長杯ではさらにレベルアップした姿が見られるだろう。


三井物産のDF東城佑紀。東伏見では中央大のコーチとしてスーツでの姿がおなじみだが、この日は主力セットで奮闘した。「岡山に行ける! これで岡山に行けます!」。大の大人が本気で喜んだり悔しがったりできるのが社会人アイスホッケーの魅力だ。

元のページへもどる