第86回全日本選手権・第1日

2018.12.14 東京都西東京市・ダイドードリンコアイスアリーナ

1回戦4試合が行われ、第2日(12月15日)の準決勝に進んだ4チームはすべてアジアリーグ勢。順当な結果といえばそうだが、敗れた大学・社会人チームにとっても、かけがえのない収穫を得た4ゲームになった。

明治大 1(1-2、0-1、0-0)3 アイスバックス

1年生ながら守りのキーマンであるDF青山大基ら4人がU20世界選手権遠征のため不在の明治が、随所で試合をコントロールした。1ピリ4分に先制された明治は、2分後に同点に。15分に2点目を失ってからも、パックコントロールに優れたFW陣を中心に幾度もアイスバックスのDゾーンを脅かした。守っても、GK香田凌辰(2年)が決定的な場面でファインセーブ。試合終盤のPPを生かせず得点の積み上げはならなかったが、最後まで勝負の興味をつないだ。その香田は、「大学と違って長いパスを使ってくるので視野を広く持つことが必要ですし、常に正対しないといけないんですが、思っていたよりも動けた、やれたという印象です。できれば福藤(豊)さんと同じリンクに立ちたかったですが、ビビらずにやれたし、決定的なシュートを止められたのは自信になる。これからの課題だなと感じたのは、ゴール前で予想できないプレーをされたこと。特にワンタイムへの配慮です」。試合後はシッキネン監督から賞賛の言葉をかけられ、また福藤からもスティックを送られて感激の面持ちだった。

明治はこの秋の関東大学リーグ戦を制した、いわば学生王者だが、明らかにアイスバックスと違っていたのがフィジカル。スロットエリアまでパックを運びながらそこから抉っていけない、あるいは自陣ゴール前で相手にフリーでたたかせるなど、エンドゾーンで体を使ったプレーができないケースがあった。これは明治というより、関東の大学全体の課題というべき部分。ここ数年の傾向だが、普段のリーグ戦からボディチェッキングがないことがバトルの弱さにつながっている。チェックが少ないから体を大きくする必要がなく、結果、4年間でほとんど体格が変わらない。選手自身のトレーニングはもちろん、競技レベルを引き上げるペナルティの取り方にも取り組んでいく必要があるだろう。

フリーブレイズ 8(1-1、4-2、3-0)3 ダイナックス

近年、関東の大学生の間では、むしろアジアリーグのチームよりも進路先としての人気が高いダイナックス。昨年度3冠王者・明治大のキャプテンだったDF大場大、史上初の2年連続個人3冠(得点・アシスト・ポイント)のFW坂本颯(中央卒)という、いわばリーグの顔だった2人が入社している。その坂本はケガのため不出場だったが、この試合でも2ピリ途中まで3-2とリードするなど、地力のあるところを証明した。やはり学生と同様にフィジカル面でトップリーグと差があり、走って当たってリズムをつくるフリーブレイズのようなチームからすれば、途中までの苦戦は織り込み済みだったかもしれない。

善戦の立役者となったのが、39歳のベテランGK大澤啓太だ。「シュートスピードは普段の相手と違っていましたが、裕志朗のシュートをずっと受けていたので、それほどすごいとは思わなかったです」。現在、ECHLのホイーリングでプレーする平野裕志朗。昨季途中までフリーブレイズに在籍し、今季、プレーするチームが決まるまではダイナックスの練習に参加していた。「裕志朗のシュートを受けまくって今もアザになっているんですけど、僕にとって最高の特訓ができました。昨日も裕志朗からメールが来て…今日も来るかもしれませんね」。好セーブを連発した相手が平野の古巣だったのも不思議な縁というべきか。

関西大 1(0-2、1-4、0-1)7 王子

関大は開始1分で失点するも、そこから立て直し、最後まで緊張感のある試合運びを貫いた。かつてのようにスタープレーヤーはいないものの、真摯にプレーに取り組むチームカラーを心強く感じたファンもいただろう。「去年の大会は1ピリの5失点で終わった感がありましたが、今日は最後まで集中できた。体が強くなっているのかもしれませんね。今日の試合で感じた課題が、経験値。こういう格上の相手と試合する機会を多くしていくことが、ひいては代表の強化にもつながっていくと思います」と鈴木宣夫監督。10日後に迫ったインカレに向けて、いい感触を得られたようだ。

王子・桜井邦彦監督も、試合後の会見の最後にこんな一言。「全日本では、これまでも大学生のチームと対戦してきましたが、ボディチェックの時に、ヒューとか、そういう声を出す…なんというか…ちょっとそういうのはどうなのかなと思うようなチームもありました。でも、今日の関西大学さんはそういうことのない、非常に真剣な、いいチームだと感じました」。わざわざ自ら記者たちに「最後に1つ、いいですか」と切り出して口にした言葉。戦う相手に「このチームと試合をしてよかった」と思わせる、それもまたスポーツが持つ意義だろう。

日本製紙 4(2-0、0-0、2-1)1 早稲田大

2ピリ終了時まで2-0。早稲田がこの秋のリーグ戦の「主役」だったことを証明するようなスリリングな展開だった。日本製紙は序盤、アジアリーグではあまり経験しない2-1-2の早稲田のシステムに手を焼いたものの、2ピリ以降は修正し、最後は力の差を示した。早稲田にとってはPPで決められなかったのが響いたが、FW澤出仁、DF篠田純希(いずれも2年)らがスピード勝負でも敵を置き去りにする場面があった。

早稲田の主将、FW鈴木ロイ(4年)は「コーナーのバトル、競り合い。ハードに戦う早稲田らしいホッケーが、思っていたよりもできたと思います。一方で、学生を相手にするよりもシュートに持っていくまでが大変でした。僕はどういう体勢からもシュートを打っていくタイプですが、普段よりもひと工夫、ふた工夫しないとシュートを打つまでいかなかった。あと、差を感じたのはパスレシーブの精度です。いいリグループからトップスピードに乗るまでも速かったですね」。鈴木と同様、卒業後はトップリーグに進むDFハリデー慈英(4年)は「1つのミス、たとえばマークミスをすると、アジアリーグの選手はそこを突いてきます。シュートの精度と、シュートを打つという意識も、やはり学生には感じないものがありました」。

日本製紙・小林弘明監督は「早稲田はこの秋、明治に勝っているんですよね。それだけのことはあると思ったし、最後まで走る、チームの統制、そういうところにも強さを感じました。早稲田が試合を支配した時間帯もありましたよ」。アジアリーグで首位を走るチームをたじろがせた。きっと早稲田にとって、胸を張っていい試合だった。

 

卒業後はアジアリーグに進む鈴木(右)とハリデー。大学最後のインカレを前に、これ以上ない経験と刺激を味わった。

トップリーガーを相手に、スピードという自分の最大の武器で挑んだ澤出。普段の学生相手の試合とはまた違った面白さがあった。

積極的にジャンプアップ、そしてハリーバックと、トップリーグでも通用することを証明したハリデー。鈴木とのコンビでゴール前でバックドアのシュートをするなど、見せ場をつくった。

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