選手を激励する大西監督(上左)。リーグ戦後半の戦いの中で、チームのまとまり、雰囲気は上向きになっているという。


今秋のリーグ戦で2位となった早稲田と互角以上の戦いを演じる一方で、下位校相手に連敗を喫して戦いを終えた慶應義塾。チームを率いる大西功監督に、今秋のリーグ戦を振り返っていただきつつ、インカレへの思いを聞いた。

——1次リーグ開幕戦、早稲田との一戦は前半(2ピリ10分)を2-0で折り返しながら、3ピリに逆転されて負け(3-5)。その試合を含めて4連敗と、出足でのつまずきが影響した感があります。それでも、5試合目の東海戦で勝ってからは2次リーグ初戦の早稲田戦を含めて4連勝。順位決定リーグを狙える位置までいきながら、そこから6連敗で戦いを終えました。

大西 ケガ人が多かった中で、それなりに戦えたとは思っています。大学リーグのファンの方の中には、私たちの力を高く評価してくださっている方もいますが、個人のスキルでいえば(Aの8校中)7位か8位が妥当だったと思っているんです。練習を見ていただければわかりますが、シュートのスピード、スケーティングのスキルでは上位校とは格段のレベル差がある。グループBの上位校と比べても、彼らのほうが個人スキルは上だと思っています。では、その部分の差を埋めるために何をするか、そのスキル差を埋めるために何をやるのか。対戦相手の力が10でウチが6だとして、徹底的に走り込む、徹底的にフィジカルなプレーをやっていく、それでフィジカルの部分で8までいって、あとは徹底的なスタミナで残り2を埋めていく。それで初めて、10の力を持つチームと対等に戦えるんです。それが「泥くさい」といわれる慶應のホッケーの伝統で、そうやって差を埋めてきたからこそ「いい試合」ができていたんですね。だから、けっして慶應の調子が悪かったのではなく、上乗せすべきものが1しかなかった。スタミナで相手を圧倒するはずが、完全には圧倒できなかった。そして、そういう時に手で行ったり、スティックを出したりして反則が多くなった。圧倒的なスキルを持つ相手にDゾーンで走り回られたとき、反則せざるをえなかった、それが重なったときが慶應の負けパターンなんです。結果としてリーグ戦は6位に終わったけれども、実力が出せなかったわけではない。実力は十分出しきったし、実力以上のものを出せたからこそ早稲田にも勝てたんです。法政とは1勝1敗ですが、実力からいえば法政のほうが全然、上ですよ。日体だって東海だって、個人のスキル、シュートのスピードは向こうのほうが絶対に上なんです。

——早稲田に勝った一方で、特に2次リーグ後半は下位校を相手に負けが続きました。波が大きかったのかなと。

大西 はい。しかし、1人1人のプレーを見てみてください。要は、慶應は100あるピースのうち100、全部埋めないと勝てないんです。95ピースでは絶対に勝てない。でも、ほかのチームは80ピースでも、70ピースの状態でも、調子がいい選手がいたらそれで勝ててしまうんです。

——常に「100パーセント」の力を出す、出しきる。それが慶應が勝つための必須条件だと。

大西 そうです。だから、熱くなってペナルティをする選手が出てきたら、その時点で負けなんです。すべてがうまくかみ合ったときに、慶應は勝つことができる。それが2巡目の早稲田戦であり、1巡目の法政戦だったんです。逆に、99ピースで終わってしまったときは、法政にも負けますし、日体にも負ける。われわれスタッフの使命は、常に100ピース埋め込む、出させるということです。

——思えば、前回の八戸インカレ準々決勝の東洋戦も、ペナルティが重なって力を出しきれなかった(1-5)印象です。さて、間近に迫った苫小牧インカレに向けて注力していることは。

大西 60分間やりきる「メンタルのスタミナ」です。60分間、緊張の糸を一切切らずにやりきること。普通のチームはそんなことをしなくても、自分のペースに巻き戻すことができます。個人で「抜ける」選手がいますから。でも、ウチは個人で持っていってシュートまでいける選手がいない。常に緊張感を持って、常にやり続ける。それができなければ負けてしまいます。

——ただ、慶應のあのエネルギッシュさを60分間保つのは、本当にキツいし、難しいことですよね。

大西 はい。しんどいです。キツいです。特に今年は1年生が多いチームですしね。試合に出ているDF6人のうち、3人が1年生。これはキツいですよ。1年生にはまだ、メンタルのスタミナがないんですから。われわれが今、取り組んでいるのは、氷上練習の90分間でまず気持ちを切らさない。氷に乗った時から、さらにいえば(ウォーミング)アップの時から、気持ちを入れてやる。そして氷に乗った瞬間から、90分間、すべてゲームスピードで、シュート練習も含めて常に緊張感を持ってやり続ける。それが、試合の60分間、ランニングタイムでいえば2時間近く緊張感を持ち続けてやることにつながってくる。それが勝ちに結びつくと思っています。

——インカレは短期集中型の戦いだけに、相手チームもまた「この一戦」にかける集中力が高くなります。そうした状況下でなお、慶應が上回るために必要になってくるものは何でしょうか。

大西 インカレもリーグ戦もそうですが、ウチは「底のチーム」だと思っています。常にチャレンジャーなんです。「ジャイアントキリングをしよう」という気持ちを常に持ち続けなければダメなんですね。秋のリーグ戦では、6連敗の前に4連勝しました。連勝した時に、おごった気持ちがあったのかもしれません。チャレンジャーの気持ちがなくなっていた。試合最初の1秒から緊張感を持ち続けられなかった。

——確かに、2次リーグ半ば以降の戦いは、慶應らしい粘り、食らいつく根性というか、そういうものが薄かったようにも思えます。

大西 スタッフが「何やってんだ」と尻をたたくのではなく、ムードを変える、流れを変えるのは選手たちです。だから選手はすごく悩んでいましたよ。悩んで、悩んで、練習の時も悩んで、ミーティングをして、ベンチの中でもいろいろ考えて、一所懸命、4年生が声をかけて。結果は出ていないですけど、チームの中の雰囲気はリーグ後半に間違いなくよくなりました。連敗をして、最後(法政戦・1-4)も負けていますけど、4年生が「引っ張ろう」、3年生が「ついていこう」、2年生も「がんばろう」、1年生も「オレたちもやんなきゃな」という責任感を持ちだした。チームはいい雰囲気、いい方向に向いています。

——それを聞いて、苫小牧での戦いが楽しみになってきました。

大西 はい。結果は時の運です。私が求めるのは、最後の大会で、本当にみんなが1つになること。試合の後に「やりきれた」という気持ちになってほしいと思っています。

元のページへもどる