指示を与える井原監督(右)。苫小牧インカレで優勝すれば、2シーズン連続の3冠となる。


今秋の関東大学リーグ戦では、最終戦で逆転優勝を飾った明治。2年前、89回大会のインカレ以来、主要大会をすべて制していることになる。ゲンのいい苫小牧インカレを前に、井原朗監督に胸の内を聞いた。

——インカレがいよいよ始まります。その前にまず、秋のリーグ戦を振り返っていただきたいのですが、やはりハイライトは11月23日のGK磯部裕次郎(3年)の復帰戦(3-4中央・GWS負け)、からの2日後の早稲田戦大勝(7-1)でした。「たとえリーグ戦で優勝できなくても、インカレを考えて磯部をチームの一員に戻したかった」という井原監督の発言には驚かされました。

井原 昔からそうですが、明治の目標は常にインカレの優勝。今シーズンは3冠(春の選手権、秋のリーグ戦、インカレ)を目標にスタートしましたが、やはりインカレは特別なんです。磯部のケガが回復して、どのタイミングで彼を戻すかを考えたとき、彼の今までの貢献とか、常にみんなに寄り添ってくれてやってきてくれたことを考えると、あの試合だった。普通は、優勝の可能性がある限りは、ずっとスタメンだった香田(凌辰・2年)でいくべきと皆さん、考えると思うんです。でも、やはりそこは磯部を信じたかったし、実際、彼の実力からいったら半分くらいかもしれないですけど、それでも結果を出してくれた。使ってよかったし、インカレは二枚看板でいけると思います。

——ただ冷静に考えると、あの中央戦で勝ち点が0だったら完全に優勝がなくなっていたわけで、リスキーな決断でもありました。

井原 正直、優勝をあきらめていたわけではないですけど、早稲田に2回負けた時点で、優勝してもあんまりうれしいものでもないですよね。ルールが変わって(今季は2次リーグ後に上位4チーム総当たりの順位決定リーグを採用)優勝できましたけど、同じチームに2回負けている。それで火がついて最後は優勝しましたけど、そういう戦いは本当はしたくなかったですね。

——優勝という結果よりも、優勝チームにふさわしい強さを見せたかった、と。

井原 そうですね。ただ、「秋に弱い明治」という見方もあったと思うので、こうしてリーグも2連覇できて、長期戦でも優勝できる戦いができ始めているのも確かです。春は、その前の合宿の効果もあって優勝した。サマーカップも同様で、インカレも2連覇している。このリーグ戦の経験を生かしてくれれば、インカレ3連覇も見えてくるのかなと。

——2次リーグ終了時点で「課題はわかっているけど、この秋はもう間に合わないのでインカレに向けてやっていく」という、ともすればギブアップ宣言ともとれる発言もありました。

井原 春に使っていたシステムと、サマーで優勝したときのシステムは全然、違うんです。サマーは、それまで合宿をやってきているので、60分間、走りきれたんです。その流れで1次リーグに入って、最初はよかったんですけど、ウチより走れる大学、早稲田に走り負けた。そこからの短期間で早稲田よりももっと走れるチームになれるかといったら、それは無理ですよね。で、2次リーグの早稲田戦でも大差で負けた(2-6)。そのとき「春までのシステムに戻せばいいんだ」と思ったんです。省エネでカウンターというホッケーに戻して、スキルだったらなんとかなるので、春に勝ったときと同じホッケーに戻そう、と。夏に合宿でやってきたものを捨てた。自分たちよりも走れるチームがあったということです。

——確かに、優勝を決めた順位決定リーグの早稲田戦も、スコアは7-1ながら、試合中盤以降は早稲田の走りが目立つ場面もありました。

井原 ですよね。去年までだったらスキルプレーヤーがパックを持っている時間が60分のうち20分から25分くらいあったのが、今年のリーグ戦では10分とか15分くらいしか支配できていなかった。要所、要所でキープする場面があるので、見ている人は「おおっ」となりますけど、その時間が短かったのが1次・2次リーグだったんです。なぜかというと、足を使って運動量の多いホッケーをやろうとしていたから。

——インカレに向けての練習のテーマは何だったのですか。

井原 走るホッケーを追求するというよりは、勝った時のプレーをそのまま続けたほうがいいのかなと思うので、順位決定リーグのホッケーをそのまま継続していきたいと思っています。

——明治というとタレント集団といわれてきて、今季の4年生も技術の高い選手がそろっていますが、来季、アジアリーグに進むのは今のところ1人です。雪印、バックスで活躍した元トップリーガーの井原監督は、そのあたりをどうとらえていますか。

井原 以前と違って、そこまで「上に行きたい」と考えている選手はいないですよね。やはり現状を見ていますし、先輩たちの姿も見ているので、上に行きたいという選手は本当に減りました。今も3年生は就活を一生懸命やっていますよ。

——人生をかけた決断なので、学生の選択に異を唱えるべきではないと思います。とはいえ、やはり上を目指す選手が少なくなると、どうしてもアイスホッケーへの取り組み自体に変化が出てくるのではないかと。

井原 ただ、ウチの場合は1人ひとりのポテンシャルが高いので、取り組み方が甘い選手は試合に出られなくなります。チーム内の競争がありますからね。

——監督4年目、すっかり明治は常勝チームとしての地位を取り戻しました。今後に向けては。

井原 学生の中でも、明治だけはちょっと違うホッケーというか、みんなに見られている大学なので、いい伝統を引き継ぎながら進化していければいいのかなと。大学ホッケーのリーダーであり続けられるように、覚悟を持ってやっていきます。

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