国内外のビッグゲームを経験してきただけに、意外な時間にタイムアウトをとり、それが絶妙な効果を生んだケースも今秋にはあった。インカレでも「マジック」が見られるか。


2013年5月の監督就任以来、6シーズン目。今秋は1つ目のFW3人がケガに泣いた時期もありながら、リーグ終盤は本来の強さ、力強さをしっかり取り戻した。今季のインカレの舞台は、自身の大学4年時に歓喜を味わった地・苫小牧。大一番を前にした指揮官の思いとは。

——まずは今秋の戦いを振り返ってください。

鈴木 やっぱりスタートでつまずいたことが(法政に7-9で負け)チームにとって大きなダメージで、それを引きずったと思います。それまではオフェンスを重視してやってきて、ディフェンスはこれまで築いていたものでやっていけるかなというのがあったんですが、1次リーグのスタートから失点の多さが目立ったので、そこをもう一度、修正しなくてはいけないっていうところの切り替えが、少し…。オフェンスの部分をもっともっと成長させたいっていうところで、ディフェンスは自然にできる、そこからオフェンスにつなげるというステージに行きたかったんですが、もう一回、基礎からというところで、どのタイミングでどう持っていったらいいかという迷いはありました。

——どのようにそれを改善したのでしょう。

鈴木 守りの部分は意識づけをしていけば自然に上がっていくので、後半戦に向けて切り替えてもう1回やり続けたので、そこは成長できた部分だと思います。ただ、ケガ人がいて万全ではないという不運も正直、ありました。結果的に望んでいた結果は出なかったんですが、ケガ人が出たことによってチーム、そして選手個々の成長につながったリーグ戦だったと感じています。

——2次リーグは初戦から明治戦を含めて6連勝。順位決定リーグでは柴田嗣斗(4年)、武部虎太朗(2年)らFWの復帰もありました。後半戦の強さこそ東洋本来の力という印象を受けました。

鈴木 順位決定リーグは1勝しかできませんでしたが、2次リーグは多く勝ち星を挙げられたのと、そこでチームの成長が見られたので、インカレに向けては悪くない形でリーグを終えられたと思います。

——一方で、2次リーグ最終戦の早稲田戦、順位決定リーグ初戦の明治戦と、マストウィンの試合を落としたことは、トーナメントのインカレに向けて課題となるのでは。

鈴木 そこはメンタルというか、習慣だと思います。選手はもちろん一生懸命やっていますし、いいものを出せるところまでは成長できているんですが、その先、もっと上にいくための習慣が必要です。どこか気が抜けている選手がいたり、サボっている選手がいたりすることが、そうした面につながっていると思います。アイスタイムが多い選手は一生懸命取り組むけれども、一方でアイスタイムが少ない選手は、一生懸命やっていないわけではないんですが、メンタル的にダウンしたり、プレーの質が下がる。そういう細かいところの質を全体的に上げていかないと、というのはありますね。

——東洋は、ほとんどが高校までエース級の扱いを受けていた選手ばかりです。点取り屋を担ってきた選手が、東洋ではフォアチェッカーだったりPK要員を任されることもある。彼らにもプライドがありますから、難しいところです。

鈴木 もちろん、私たちスタッフも選手をやっていたので彼らの気持ちもわかりますし、そこは簡単なことではないと思うんです。補欠になったことがない選手が補欠になるっていうのは、簡単には切り替えられないことも理解しています。ただ、成長するためには、それを乗り越えて次のステップにいかないといけない。今、ケガ人が戻ってきてチーム内にいい競争が生まれています。リーグ戦途中で悔しい思いをした選手が、その経験をインカレで生かしていってくれたらと思いますね。

——試合はだいたい3つ回しですが、4つ目に誰を入れるかというのは、実はチームを左右する大きな案件ですよね。きちんと取り組んでいる選手がベンチから外れて、そうでもない選手がメンバーに入ったりすると、それでチームが揺らいだりする。4つ目の5人に誰を選ぶかというのはスタッフの腕の見せどころですね。

鈴木 もちろん簡単な決断ではないんですけど、チームのために何をしてくれるかというのが一番ですね。もちろん技術も必要ですし、1つ目、2つ目、3つ目に関係なく、そういう気持ちのある選手を起用したい思いは強いです。

——インカレ(インタビュー収録は12月上旬)に向けて考えていることは。

鈴木 リーグの後半からアプローチはあまり変わっていなくて、やるべきことをやり抜こうと思っています。チームがやろうとしていることの共有はかなりできているので、そこを磨き続けるのと、ここでもうひと段階、チームが1つにまとまる、簡単にいうと「チームワーク」に磨きをかけていきたいと考えています。

——鈴木監督自身も、初タイトルへの思いは強いでしょう。

鈴木 もちろん私自身も優勝したいのはありますが、4年生に最後、いい思いをさせて卒業させたい気持ちが強いですね。正直、リーグ戦で結果が出なかったので、選手たちも半信半疑なところはあると思います。ただ、リーグ戦ではどのチームからも勝ち星を挙げましたし、今までとは違う風景も見え始めてきている。そこを選手たちは楽しみにしていると思います。私自身もリーグ後半からの成長を感じていますし、ここ一番でどういうプレーをしてくれるか、本当に楽しみですね。

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