関東大学リーグの試合にもっとお客さんが来てくれたらと願う佐藤。アイスホッケーという競技、そして青山学院大学というチームに対する想いは、純粋そのものだ。


顔もハートもイケメン。

2月16日14時フェイスオフの「東京ブルーズ創設試合」対電通戦でベンチに入るGKは2人。2月13日に行われたミーティングで、スタメンは金子将太朗(中央大学4年)、イケメンは佐藤諒と、担当が振り分けられた(付け加えると金子もなかなかのイケメン)。青山学院大学では1年生の西村一彩と正ゴーリーの座を争い、「勉強もすごく頑張っている」とチームメイトの評価が高い選手だ。

北海道の強豪、インターハイの優勝経験を持つ釧路江南高校の出身。「これまでで一番思い出に残っている場面」として、佐藤は自分が出ていない試合を挙げた。「高校1年生のインターハイ、2回戦です。その年、一度も勝てていなかった清水高校と対戦したのですが、第3ピリオドの途中まで3点差をつけられていたんです。でも、そこから追いついて、最後はGWS(ゲーム・ウイニング・ショット=サッカーのPKのようにシュートする選手とキーパーが1対1で争う)で勝ちました。その時のキーパーは合田聖さん(中央大学3年)。僕は試合に出ていなかったのですが、アイスホッケーの魅力というか、本当にこのスポーツは何が起こるかわからないんだって、震えるような気持ちでした。あの試合のことはずっと忘れられないと思います」

アイスホッケーは、ベンチには最大22人の選手が入り、氷上には6人が下りて試合をする。そのうちFW3人+DF2人の計5人が「セット」を組んでどんどん交代しながらゲームを進めていくが、唯一、GKだけは、点差が開いたり、負傷するなどの特別な事情がない限り、1人で試合の60分間をまっとうするケースが多い。ベンチ入りした選手のうち、サブのキーパー1人だけが1秒も出場することなく試合を終えるケースが多いのだ。自分だけ出番がないことで気持ちが切れたり、試合に出ているGKの失敗をどこかで期待したりはしないのだろうか。「試合に出ても、出ていなくても、ベンチに入った以上、いえ、ベンチから外れてもチームの一員であることに変わりはありません。試合に出ていない時でも、できるだけ選手のためになること、積極的にベンチの扉を開けるドアマンをやったり、仲間を励ます声を出したり、チームのためになることを常に考えています。自分のことより、チームを大事にしているつもりです」

アイスホッケーとチームを大事に思う佐藤が残念に思っているのが、大学リーグでせっかくハイレベルな試合をしても、それが世の中に伝わらないことだ。「お客さんの数が少ないのは寂しいですね。僕の出身地である北海道の釧路はアイスホッケーが盛んで、トップリーグ以外の試合にもたくさんの人が来ます。大学に入ってからは、僕も友達を誘ったり、SNSを活用したり、小さいことですが学生の自分にもできることがあるのではと思っているんですが」。青山学院の練習は夜の10時45分、あるいは日付の変わった午前1時45分など深夜に行われることが多い。リンクの貸し切りがその時間しか確保できないためだが、大変な思いをしながら練習した成果を多くの人の前で披露できないことを佐藤は悔しがる。

所属する青山学院大学という「チーム」への想いも年々、強くなっているという。「大学生活も残り2年、これからは後半になります。去年まではチームに引っ張ってもらっていましたが、これからは引っ張る立場であり、引っ張ることのできる人間にならなければと思っています」

佐藤を見ていると、単に容姿が整っているだけでなく、1人の人間としての考え方、生き方が凛としている印象を受ける。女子学生の人気もさぞ高いのでは? 「いえ、残念ながら全然です(笑)」。そんなふうに言える人間こそ、女性にも男性にもモテるものだ。仲間思いで、謙虚。佐藤諒の本当のイケメンぶりは、もしかしたら顔ではなく、心なのかもしれない。

(記事は2019年2月に執筆)

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