普段はおとなしく、それでも氷上では自分を貫く宮本。色白で、多くの女性ファンを獲得しそうだ。


泥くさく。それが僕の信念。

明朗と書いて「あきら」。プレーの緩急、パス出しにセンスが光るFW宮本明朗は、関東のホッケータウン・栃木県日光市で生まれた。「お父さんも中央大学の選手で、DFだったんです。ホッケーは本当に小さいときからやっていました」

宮本の出すパスはツンデレだ。パスを出すぞ、出すぞという感じではなく、ふっと不愛想に、素知らぬ顔をして、しかしパスレシーバーを思いやった軌道を描く。中央大学での受け手は、幼いころからの盟友、同じ2年生のFW徳光陸。「僕が安良沢(あらさわ)小学校で、陸は清滝(きよたき)小学校。お互い、うまいなあと意識する関係でした。その後、2年生の時に陸が転校してきたんです。それから中学、高校、大学とずっと一緒。今も同じセットを組んでいます。陸は、このへんにいそうだなと思うところにいるし、このへんに来そうだなというところでパスが来る。見ないでもわかるし、話さなくてもわかるんです。2人の間の決まりごとというか」。日常生活で特にいつも一緒にいるわけではない。氷の上で、パックを通じてつながっている間柄だ。

3月にロシアで行われるユニバーシアードの日本代表の一員。それでも卒業後にトップリーガーの道に進むことは考えていないという。「栃木と日光が好きなので、できれば(故郷に)帰って仕事をしながら、アイスホッケーをしたいと考えています。栃木の代表として国体で頑張りたい気持ちが強いですね」

この秋のリーグ戦で、中央大学は4位。総当たりの2回戦を終え、トップ4による順位決定リーグを迎えた時点で、すでに優勝の可能性は消えていた。それでも順位決定リーグで、優勝した明治大学を相手に4-3で勝ち、1次リーグで1-7と大敗した相手に、中央大学の意地と成長を見せつけた。「たとえ優勝はなくても、明治を相手に自分たちがどれだけできるのか、精いっぱいやろうと。チームがまとまった結果が接戦での勝ちにつながったと思います。リーグ戦ではチームが勝てずに、しかも勝てないことでチーム内が難しい状況になって、一時はどうなるのかなと思いました。ああいう経験は自分のホッケー人生の中ではなかったですし、きっとこの先もないと思いますが、みんなで乗り越えることができてよかった。個人的にも、ポイント(得点とアシスト)の数が上がらず苦しい毎日でしたが、どんなに苦しくても、自分がこれまでやってきたことを信じて、自分を信じて、周りにどう言われようとやる、それはできたんじゃないかなと思っています。得点が入らないことに関してもいろいろ言われましたが、自分としては、得点以外でもバックチェック(パックを持っている相手選手の背後からプレッシャーをかけること)などの守備の部分で貢献できていたんじゃないかなと。得点できなくても、自分の泥くさいプレーをやろうと信じてやってきた。そういう気持ちは最後まで持ち続けられたと思います」

パスだけでなく、普段の宮本も、ツンデレでスマートだ。しかし、内面は違う。「一生懸命やる。常に全力で。攻めだけじゃなく、守りの部分でも手を抜かないで、すべてにおいて全力でやるのが僕のスタイルだと思っています。今、アイスホッケーはマイナースポーツといわれていますが、もっともっとみんなに知ってもらえるようにプレーしたい」。ツンデレでも、ハートは熱い。宮本明朗はそういう男だ。

(記事は2019年2月に執筆)

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