大型ルーキーを加えた層の厚みが、チーム内にいい緊張感を与えている東洋。初戦での大勝にも、気持ちを緩める様子はまったくうかがえなかった。


秩父宮杯 第67回関東大学選手権Aグループ準々決勝

2019.4.14 東京都西東京市・ダイドードリンコアイスアリーナ

東洋 7(2-0、3-0、2-0)0 慶應義塾

ついに今春、その瞬間をわれわれは目にするのだろうか。つまり、元日本代表キャプテンであり監督でもあった鈴木貴人監督が、東洋大学を率いて頂点に立つ場面ということだ。 

4月14日、東伏見。昨年末のインカレ以来、3カ月半ぶりに公式戦に姿を見せた東洋は、序盤から順調に7得点を重ね、慶應義塾を難なく退けた。慶應も、毎シーズン入念な準備をして大会に臨んでくる好チーム。楽な相手でないことはいうまでもない。実際、春の大会で東洋が慶應に苦杯を喫したケースも過去にはあった。しかし、今の東洋には「スキ」が見当たらない。4月6日に開幕した関東大学選手権はこの日ですべてのチームが1試合以上を消化したが、この時点で一番「強い」と思わせたのは東洋だった。

パックドロップ直後は、アレレな出足だった。4年生のFW所正樹(4年)、石橋拓実(4年)のチェックが反則となり、3人対5人のショートハンド(リンク上にいる選手が相手より少ない局面)に。しかし、ここをしのいだ東洋は7分44秒、コーナーからの戻しを受けたDF石田陸が、チェックに来た慶應の選手をかいくぐって先制ゴール。カットされると逆に危ないケースではあったが、将来の代表候補らしい豪快なゴールで自らの大学デビュー戦を飾った。PP(パワープレー=相手の反則により人数が多い場面)の18分15秒には、FW猪狩大智(3年)がシュートリバウンドを右からねじ込んで2-0。第2ピリオドも1ピリ同様、ショートハンド(PK)の立ち上がりになったものの、開始36秒、FW清水玲(3年)が、相手のハンドリングミスに乗じてGKと1対1になり、3点目をスコア。同じく3分30秒にはFW久米誠斗(2年)がOゾーン(相手ゴールに近いエリア)を切り込みながら2人をかわして4-0。PK(ペナルティ・キリング=反則で相手よりも選手が少ない状況)を全員で守り、しかも得点まで奪ってしまうという、慶應の精神的ダメージを誘うゴールを重ねた。

試合後、鈴木監督は「ペナルティでのゲームスタートでしたが、PKが機能してゼロに抑えたのが勝因です。どの選手、どのライン(ユニット)も役割を把握して、いいプレーをしてくれた」と合格点を与えた。東洋は足がよく動き、その結果、パックもよく動く。ルースパック、さらに慶應パックの場面でも、執拗なプレッシャーで自由を与えなかった。足を使うホッケーが身上の慶應とすれば、時間の経過とともに疲弊し、Dゾーン(自陣ゴールに近いエリア)でパックを奪っても、そこからOゾーンまで到達して攻撃を組み立てる余裕がなかった。

昨秋のリーグ戦は、開幕直後からケガ人が続出し、地力を出せぬまま日程を終えた東洋。負傷者の戦列復帰とともに調子を上げ、インカレでは決勝まで進んだが、思わぬ大差(0-6)で明治に敗れている。

この日の勝利でベスト4入りが決まり、上位4校による順位決定リーグが20日から始まる(東洋の初戦は21日15時、対早稲田)。「よくスケートして、スピードを持ってエントリーしたことがいい流れをつくった。次の試合に向けて、いい意味のリセットが必要です」と鈴木監督。完勝したことによる気の緩みが、最大の敵ということか。それとて点差のついた3ピリの攻撃を見ても、浮ついたところは感じさせなかった。技術、メンタルともに最高のコンディション。大会最終日は4月29日、就任7シーズン目にして鈴木監督初の胴上げが現実味を帯びつつある。

昨シーズンはスランプ気味だったが、キャプテンを任された責任感、積極性がプレーに表れていたDF川口竣耶(4年)。「僕自身、上(アジアリーグ)を目指しているので、この春は大事な大会。チーム全体をみてもいい状態だと思います」と自信を漂わせた。

元のページへもどる