強いリストを生かしたパスは、一見不愛想に見えて、しかしFWを走らせた状態でエントリーさせるスピードを兼ね備える。北米でプレーした時に磨きをかけた世界基準のパスは、近い将来、日本代表でもチームの武器になるだろう。


もうすぐ、エンジのユニフォーム姿も見納めだ。今秋よりアジアリーグ・王子でプレーすることが決まっている早稲田のDFハリデー慈英(4年)。入学2年目に早稲田を休学、北米のジュニアリーグに渡ったため、この3月での卒業ではなかったが、大学生プレーヤーとしてはこの春が最後の公式戦となる。学生最後となる戦いの中で、彼は今、何を思うのか。

——同級生が卒業して、いわば「5年生」としてチームに参加しています。同級生が周りにいたこれまでとは感覚が少し違うのではありませんか。

ハリデー まあ、でも僕はあんまり深くはとらえていないです。遠慮していても、今の「同期」に対して失礼だと思いますし、やりづらいと思いますから。同期にも「慈英さんの言うことだから(聞かないといけない)」というふうに感じさせたくないですし。僕も遠慮なく言っています。たぶん、向こうも遠慮なく言ってもらっていると思います。特に(埼玉栄高でも一緒だった)孝史朗(青木・4年FW、本年度キャプテン)はなんも思ってないと思います(笑)。

——今の立場として、チームメイトに対して心がけていることは。

ハリデー 最上級生として自分の知識とかを後輩に教えてあげるというのもそうですけど、やっぱり自分のプレーがしっかりしていないと何を言っても響かないという面もあると思うので、そこは練習から、弱いところを見せないようにというか、常にチームの中で一番のDFであるように、プレーでも生活でも引っ張っていけたらと思いながらやっています。

——毎年のように、春先は「今季の早稲田はしんどい」といわれますが、そこはリーグ屈指の「努力する集団」ゆえに、素晴らしいホッケーを展開しますよね。今季のチームの戦いについては。

ハリデー 早稲田としては、去年もそんなに…まあ今年に比べたらメンツはよかったと思いますけど、周り(の上位校)と比べたらそんなに選手がいない中であれだけの試合、結果(秋2位)を残せた。速いチェッキングからパックを奪ってシュートを打って、運動量で相手を圧倒できれば、どの大学にも対応できるのかなって。去年の早稲田を思い出しつつ、もう少し運動量を強化できれば、もっといいホッケーになると思います。

——同じセットのFW澤出仁選手(3年)が、ニュートラルゾーンでレーンを変えながら、Oゾーン手前でハリデー選手からの速いパスをもらってエントリーというシーンは、大学アイスホッケーの見どころの1つです。今季はハリデー選手のポジションが変わったということもあって、そういうシーンは少ないですが。

ハリデー 僕は今、レフトDFをやっているので、仁とちょっと遠くなったというのはありますね。まあ、あいつはやっぱりうまいんで、そこは(同じセットの)務台(慎太郎・1年DF)と一緒に生かしていけたらと思っています。

——同じセットでコンビを組む務台選手の名前が出ましたが、考えてみれば彼とは4学年違うんですよね。

ハリデー 僕の弟と同じ年です。最初は向こうも、なんかギクシャクしていた感じでしたけど、今は普通に話しています。ベンチに帰ってきて「あそこはこうしたらいいよ」というのもありますし、PPも一緒に出ているので、「こうやって動いたほうがパスをもらいやすいかな」とか、よく話し合っていますね。務台はまじめですよ。本当にそんな感じがします。1年生なので、まだ本性を発揮してないだけかもしれませんけど(笑)

——この春で大学の公式戦は卒業となりますが、それ以降の予定は。

ハリデー 春の大会が終わってもとりあえず学校があるので、授業を受けながら早稲田の陸トレに出る予定です。陸トレをやりながら自主練もしつつ、もちろん学校にも行くので、今まで通りの生活になると思います。それでコンディションを上げていって、学校(の前期の授業)が終わり次第、王子に合流します。8月の終わりに集中講義があって、そのときは東京に戻りますけど、それ以外は苫小牧だと思います。今は、学校は週3回くらい。バイトも週1~2回、ラーメン屋さんで。大学生活も残り少ないので、できるだけのことをやっておこうと思います。

ラーメンの湯切りでもリストを鍛えているハリデー。東伏見駅近くのお店で、運がよければ店員姿の彼と会えるかも。

元のページへもどる