4月29日、東洋大学10大会ぶりの優勝で関東大学選手権Aグループ。予選トーナメントで中央大学、決勝リーグ初戦では明治大学を破り、最終日まで優勝の可能性が残した法政大学以外にも、存在感を示したチームがある。本来のカテゴリーは1部Bながら、Aグループの慶應義塾を破って7位に食い込んだ大東文化大学だ。

戦力としての評価は、むしろ昨シーズンのほうが高かった。1つ目のセンター矢島龍、ウイングでキャプテンだった松渕雄太、DFリーダーの馬場風諒。チームの柱だった4年生3人が抜けたにもかかわらず、今春は前年12位から大きく順位を上げてみせた。

大会開幕ゲームとなった4月6日の1回戦は、今秋から1部Aで戦う日本大を第3ピリオドで逆転して4-3。続く明治戦、中央戦は10点ゲームで敗れたが、慶應義塾との最終戦(7・8位決定戦)は完勝だった。この試合で、エースFWでキャプテンの茂木慎之介(4年)、新入生のFWリー・ヒョンレ(北海道栄高)、塩野伊織(埼玉栄高)が初めてセットを組み、1つ目に。ハンドリングとチェンジオブペースに長けた3人が組んだことで、1+1+1が4にも5にもなった。第1ピリオド7分、塩野が先制ゴール。1分後に2点目を加えて慶應GKが交代、第2ピリオド6分には1点差に追い上げられたものの、大東は11分、12分の連続得点で引き離した。運動量豊富な慶應に負けない、スピーディーな試合運びは見ごたえがあった。

この試合で大東が挙げた5点のうち、前述の第1セットが3得点。慶應を引き離す3点目を入れたのは、2つ目のセンター野村柄(2年)だった。出身は群馬・渋川工高。高校3年時には関東の大学から声がかからず、西日本の大学に進もうと考えていた。進路を決めるギリギリの時期、12月下旬に行われた関ブロ(国体・関東ブロック予選)の群馬-埼玉の試合前、練習中の野村を見た相手チームの監督(埼玉栄・格地現監督)が「粗削りな逸材がいる」と、同じ埼玉の大東スタッフに電話連絡。突然、相手ベンチから呼び出された野村は、何がなんだかよくわからないまま電話に出て、急きょ大東への推薦が決まったというエピソードを持つ。

慶應戦の前まで1つ目だった野村をはじめ、高校ではDFだった大型ウイングの寺西泰成(2年)ら、大東には未完成の魅力を持つ選手がゴロゴロしている。それだけに惜しいのが欲のなさだ。4月13日には明治と対戦、2分に先制されながら5分に追いつき、しかしその後は失点を重ねて1-10で敗れている。「明治が相手ということで、チーム全体が弱気でした。俺たちが勝てるわけないっていう空気が試合前からありました」と茂木キャプテン。昨季まで4年続けて1部Aとの入れ替え戦に進み、1度も勝てなかった要因は、やはりメンタル面なのか。3年前の入れ替え戦では、慶應に残り7分で追いつかれ、残り3分で決勝点を奪われて1部Aへの道を絶たれている。その試合を知る唯一の学年が、今の4年生。慶應を下して7位になった今春の最終戦は、彼らを勝ちに飢えた集団へと変えるだろうか。

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