高校時代のホストファミリーの彼は現在、13歳。日本にいたら高校・大学で通用するレベルで、こういう選手がゴロゴロいるカナダは恐ろしいです。


こんにちは。中央大学でもブルーズでも背番号28のDF、小川翔太です。神奈川県横浜市出身、高校時代は宮城・東北高校でプレーし、現在は中央大学総合政策学部の3年生です。現在、アメリカ・シアトルに語学留学に来ていますが、こちらに来て早いもので、留学期間の半分が終わりました。現地の生活に慣れてくると行動範囲も自然と広がるもので、カナダのバンクーバーへスモールトリップしてきました。

バンクーバーは、シアトルから自家用車で4時間ほどの距離にあります。ただ、私には車がないので、「足」はバスです。バスだとオリンピアから7時間くらい。それでも1万円以内で往復できるので、行かない手はありません。バンクーバーには高校時代にも2度行っていて、その時のホストファミリーや日本人の知り合いに会いに行くのが目的でした。

木曜日の授業は午前で終わるので、許可をもらって金曜日を欠席にして木曜日のうちに出発しました。バンクーバー行きのバスが出ているタコマまで市バスで移動し、この時点15時半。予定では16時40分にバスが来るはずが、30分経ってもバスが来ません。バスは75分ほど遅れてタコマに姿を現し、18時ごろタコマを発ちました。停留所は「Bolt Bus」と書かれた紙が1枚貼られていただけで、本当に停留所なのかもわからない中で1時間15分も待つのは苦痛でした。

バスに乗ると、遅れを取り戻すかのような猛スピード。ところが、カナダとの国境の少し手前で突然、停車しました。エンジンがオーバーヒートして動かなくなったのですが、止まった場所は高速道路です。運転手が代替のバスを呼びましたが、シアトルから来るので3時間ほど真っ暗なバスの中で待たされました。バスが停止しているためWi-Fiも使えず、ひたすら無心に、時の流れに身を任せるしかありません。とりあえず席の近い人にネットを共有してもらい、到着が遅れるという連絡を先方に入れました。

2代目のバスに乗ってバンクーバーに着いたのは午前3時半。とりあえず駅近くのマクドナルドで夜が明けるのを待ちました。夜が明けて30分ほど歩いてダウンタウンの中心・ウォーターフロント駅に行くと、なんとホストファザーが迎えに来てくれました。金曜日なので当然、仕事もあるのに、感謝しかありません。

ホストファザーの家に招かれ、3時間ほど寝てから観光に出かけました。1人での観光でしたが、ホストファミリーはみな仕事や学校があるので仕方ありません。まずはグランビルアイランドへ。ここのマーケットには有名なメープルシロップ屋さんがあり、3種類の濃さのシロップを試飲できます。以前、このお店でシロップを買ったことを伝え、店主の方と10分くらい話しました。これが一人旅の楽しいところです。

その後、ギャスタウンにも行きました。この地に初めて酒場を開いたイギリス人蒸気船船長のギャシー・ジャック・デイトンの名になぞらえてギャスタウンと呼ばれています。かつてバンクーバーの中心地で、観光客で賑わっていますが、私が行ったのがちょうど18時頃で、名物である蒸気時計の音色を聞くことができました。ディナーは「THE KEG」というステーキ屋へ連れて行っていただきました。ジューシーでボリューミーなステーキは最高。バンクーバーへ行った際にはぜひ食べてみてください。

また、この日はNBAのファイナル第4戦の日で、店内のバースタイルの場所(店内はバースタイルとレストランスタイルに分かれていました)には多くの人が集まり試合を観戦し盛り上がっていました。このお店だけではなく、次の日に行ったお店にもバーにはテレビが設置されており、昼間だったらMLB、NFL、MLS、夜だったらNHLやNBAというようにいつでもスポーツが放送されています。アメリカのデニーズでも、NBAが放送されているのを見ました。当たり前のようにスポーツ中継が放送されているのはとても新鮮で、憧れの風景を目にすることができました。日本ではプロ野球やJリーグがレストランで放送されているのはレアケースだと思います。スポーツ観戦はコミュニティを生み出す上、プロスポーツの需要も高まり子供たちの夢も大きくする可能性を秘めていますので、日本でも北米のようにスポーツ文化が根付くといいなと思います。

実はこの日、ホッケーのスティックを購入したため、スティックとともにバンクーバーの街を回りました。そうしたら、ホッケーやってるのねと声をかけてもらうことができました。日本でもスティックを持っていると声をかけられることがありますが、「これは何?」というところからスタートします。一方、バンクーバーではごく自然に、驚かれもせず、共通の話題として話すことができます。やはりカナダはホッケー大国で、ホッケーをやっているというだけで少し現地の人に近づける気がします。日本のホッケープレーヤーからしたら、まさに夢のような場所です。

土曜日はホストファミリーと過ごしました。以前、会ったときは9歳で私の肩にも満たない身長だった男の子が、私と同じ背丈になっているとは! 4年の月日の長さを感じつつ、ボディーチェックをしながら街中を散策しました。ホッケー少年がチェック好きなのは、カナダでも同じなようです。夜には、彼が所属するホッケーアカデミーへ行き、フリーアイスを楽しみました。私にとっては1カ月半ぶりのホッケー。彼は13歳とは思えないほどのテクニックを持っており、1対1やポスト当てバトルをして、あっという間に楽しい時間が流れていきました。やはり自分はホッケーが大好きなんだということを再確認しました。それにしても、いつでもオンアイスで練習できる環境はうらやましいです。もちろんホッケーアカデミーなのでとても高いお金を払っているのですが、それでもそれ相応以上の対価を得られる環境が整っています。日本だったらどれほどの需要があるのか気になるところです。

最終日の日曜は、別のホストファミリーとランチを楽しみました。その子の友人がこの夏のNHLのドラフトで2~3巡目で指名されそうだと聞いて驚きましたが、その選手は秋から大学へ行くと聞いてもっと驚きました。NHLを蹴ってまで大学へ行くんだ、と。それでも、NHLにはドラフト指名選手が大学を卒業するまで待つ制度があるようで、その選手はNCAAでプレーしてからNHLerを目指すとのことです。

北米では、勉強がとても重要視されているように感じます。NCAAには学業での基準が設けられ、勉強をしっかりやらないと試合や練習に参加する権利を失います。その一方で、運動部の生徒向けに補講なども行われ勉強のサポート体制も充実しています。だからこそStudent Athleteは社会でとても重宝されますし、同じ大学の生徒からも応援される存在になれるのだと思います。日本ではどうでしょうか。正直、部活をやっている人は、それさえやっていればよいという考え方が当たり前のように存在していると思いますし、多くの選手が勉強を疎かにしたり、部活があることを言い訳にして先生に甘えている気がします。

そしてそれは、ホッケーに限った話ではない気がします。プロ野球などでは多くの選手が高卒でデビューします。NCAAの制度は、選手の学びたいという意欲だけでなく、選手の人生までもしっかり考えられているとともに、大学スポーツの注目度も上がり、とても素晴らしいと感じました。もし、ドラフトで名前が挙がった選手が同じ大学の部活にいたら見に行く人は多いのではないでしょうか? 大学スポーツがあまり注目されていない日本においては、とても良い効果をもたらすことは間違いないと思います。

楽しかったバンクーバーへのショートトリップ。実は帰路でもハプニングがあり、またもやバスが遅れてオリンピア行きのバスに乗り換えることができず、タコマのマクドナルドで9時間を過ごすこととなりました。寮にたどり着いたのは月曜日の朝7時半。行きも帰りもバスに泣かされ、とても大変な旅になってしまいましたが、それも終わってみれば笑える思い出です。ホッケー大国であるカナダでは、シアトルとはまた違った多くのことを学ぶことができ、とても充実した旅になりました。今回も長編の原稿になりましたが、今回も読んでいただき、ありがとうございました。

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