こんにちは。中央大学でもブルーズでも背番号28のDF、小川翔太です。神奈川県横浜市出身、高校時代は宮城・東北高校でプレーし、現在は中央大学総合政策学部の3年生です。アメリカ・シアトルでの語学留学も、最後の1カ月となりました。残り少ない時間を大切に、少しでも多くのことを吸収して帰りたいと思っています。

先日は、タコマ空港近くの「航空博物館」に行ってきました。シアトルは以前、航空機の大手・ボーイング社の本社があった場所で、現在も工場があることで有名です。博物館にはボーイング社のものを中心に、飛行機発明時代のものからNASAの航空宇宙機まで150以上の機体が展示されています。中でも目玉はAir Force Oneと呼ばれるアメリカ大統領機です。飛行機とは思えないほど立派なソファーが並んでいたり、会議室のような場所があったりで驚かされました。

個人的に特に印象的だったのはB29機、そして日本が太平洋戦争時に使っていた「零戦」です。B29は日本に原爆を落とした機体であり、太平洋戦争時を中心に使用されていたものです。私が思い描いていた戦時中の飛行機の3倍くらい大きく、こんな大きな飛行機が上空から爆弾を落としていたなんて想像するだけで恐ろしいですが、そういう時代があったことを忘れてはいけないと思いました。

一方で「零戦」はB29とほぼ同時期に使われていたもので、機体の大きさはB29とは雲泥の差がありましたが、目を惹かれるような美しい機体のラインは日本ならではという感じがしました。零戦と一緒に戦時中の資料も展示されていて、特攻隊の隊員の名前が書かれた国旗、当時の米国新聞などがありました。普段、戦争について考える機会は多くありませんが、戦争は現実に起きていたものなのだとあらためて実感し、今の平和な世の中がどれだけ幸せなものかを痛感しました。

 

さて、今回は、前回のバンクーバー編でも触れた、北米の教育環境について書きたいと思います。

シアトルに来て、日本の教育についていろいろなことを感じました。まず英語については、ものすごく良い教育を受けられて来たことに気づきました。あくまでEFの同じクラスにいる他の国の人と比べての話ですが、特に文法において、私が全く知らないことはありませんでした。授業ではmodel verbと呼ばれる「could」や「should」「may」「might」や受動態を勉強します。受動態を英語で何というかは知らなくても(passiveといいます)、passiveの文章はすぐに作れます。こういった基礎が自分の中にあるおかげで、ただ受動態を作るだけでなく、状況に応じてhave beenを使ったり、ing形について先生に質問することができます。他の国の人の多くはpassiveが何なのか、どのように作るのかが全然、理解できていなかったように感じます。受動態がわかっていれば、model verbにおいても細かなニュアンスの違いについて学ぶことができます。これらの細かいニュアンスの違いについては、日本の学校では学べないと思います。というのも、ネイティブはこれらを感覚的に使っているので、ネイティブからしか学べないのです。

一方で、日本の英語教育の課題も感じました。それはスピーキングとリスニングです。結局、話すことができなければ、コミュニケーションをとることはできません。日本の英語の授業を思い出すと、発言の機会はほとんどなく、記述のテストによって評価されます。つまり、テストのための勉強になっているのです。EFの授業では、発言を多く求められます。最初のうちは発言するのに勇気が必要でしたが、今は気兼ねなく発言できます。これは授業に慣れただけでなく、ミスを恐れず、すぐ口に出すように意識したことが要因です。日本人はミスが嫌だという思いが強く、どうしても文章を頭の中で組み立ててから話そうとしますが、その時間に発言の機会は失われていきます。他の国の人たちは、良い意味で我を出してどんどん発言するので、初めのうちは負けないように意識していました。

これは授業以外でも感じていることで、発言の瞬発力が圧倒的に足りません。留学前は、自分には語彙がないと思っていて、実際、授業に出てくる単語はほとんどが知らないものばかりでした。単語だけでなく、知っているはずの文法まで頭で組み立てていたので、なかなか発言することができなかったのです。瞬発力を鍛えるにはとにかく会話が一番のトレーニングだと感じているので、日本に帰ってからも英会話の機会を確保できたらと考えています。

瞬発力は語彙がなければつけられませんが、ボキャブラリーの勉強をするときに翻訳機を使うと先生に注意されます。英英辞典を使うことによって、訳に出てくる単語と結びつき、一度に何個もの単語を学ぶことができるからです。今もわからない単語ばかりで、英英辞典の訳に出てくる単語がわからず、その単語を調べることもよくあります。A4のプリント2ページ分の文章を理解するのに、3時間かかることもありました。それでも、そうやって英単語に触れる機会が増えることで、少しはわかるようになってきたと思います。日本に帰ってからが課題です。

英英辞典を使う意義はもう一つあります。これは先生が授業で言っていた「Time’s up」、私たちの生活には時間の限界があり、それは会話も同じです。頭の中でいちいち翻訳していたら会話は進みません。英単語を英語で勉強することは、単語に触れる機会が増えるだけでなく、瞬発力も鍛えられます。

先生が勉強について話していた言葉で、印象的だったものを紹介します。

“99% right is still 100% wrong”

「99%わかっていても、1%でもわからないことがあれば、それは100パーセントわからないのと同じです。だから自分が完全に納得できるまで、質問したり調べたりしなければならないのです」

“Inconvenience is important for studying”

「不便を感じるから勉強するのです。スマートフォンが普及した現在、授業中にスマホをいじる光景は当たり前のように見られますが、便利なものをあえて使わないことで、頭で考えるようになり、それがやがて自分のものになるのです」

この2つの言葉は、今の私にとって、勉強における信念になっています。

 

もう一つ、アメリカの大学と日本の大学の違いについて書きたいと思います。一般にアメリカの大学は入るのは簡単で出るのが難しく、日本はその逆で、入るのが難しく出るのが簡単と言われることがよくあります。実際の入試難易度はわかりませんが、学生の姿を見ていると、それは間違っていないと思います。日本では卒業のために単位を取る、そのためにとりあえず単位が取れる授業を選ぶことが当たり前ですが、アメリカの学生は大学に学びに来ています。これは、就職に対する考え方の違いが大きく影響していると思います。実力社会であるアメリカでは、自分を磨かない限り生活ができない状況で、だから勉強せざるを得ないのかもしれません。一方で、本当に好きで勉強しているようにも思えます。Evergreen大学には学部が存在しませんが、学生に専攻を聞くと必ず明確な答えが返ってきて、具体的な内容もすぐに出てきます。もちろん日本にもそういう学生はいますが、少数派であることは間違いありません。彼らの考え方は私に多くの刺激を与えてくれ、整った日本の環境を生かしきれていないことに気づかせてくれました。本当に学びたいことは何なのか。興味本位で履修した科目と、自分の好きな分野をどのようにリンクさせるのか。それをしっかり考えながら、日本に帰国してからの残り1年半の大学生活を充実させていきたいと思います。

今回もかなりの長編となりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

Dreams really do come true:博物館正面にある銅像の言葉。とてもいいことを言っています。ホッケーにも通じるでしょう。

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