アジアリーグアイスホッケー

2019.9.23 日光霧降アイスアリーナ 3回戦(サハリン3勝)

アイスバックス 4(1-2、1-2、2-0、GWS0-1)5 サハリン


3連戦で3連敗。それでも今後を考えれば、大きな意味を持つ勝ち点「1」ではなかったか。9月21日からのサハリン3連戦。最初の2試合で零敗を喫したアイスバックスだが、最後の3戦目で見せた戦術理解度と実行能力は、これからの彼らの大きな拠りどころになるだろう。

3連戦の初戦は0-3で、2戦目は0-2。リンクサイドから「点差以上に力の差がある」という声も聞こえてきて、なるほど3戦目の1ピリを見た限り、それもうなずける展開だった。

サハリンDFは「白い壁」だ。大柄で、スティックが長く、Dゾーンの台形、PKの四角形の連動性が高い。1ピリ、バックスはエントリーしてもサハリンDFに距離を詰められて中に入っていけず、かといってパスの出しどころもなく、唯一残された選択肢としてシュートを打つような状況だった。ゴール前、いわゆるハウスと呼ばれる領域で、白い巨人は相手を自由にさせない。サハリンは2分、10分に得点を重ね、バックスは19分、DF佐藤大翔がゴール。得点を狙って打ったというより、とりあえずゴーリーの方向に打っておけという当たりが吸い込まれる幸運な得点だった。

1ピリの展開のままなら「1-7か1-6で負けるパターン」(藤澤悌史コーチ)だったバックスが、2ピリから変わった。立ち上がりからダンプで敵陣にパックを運び、ワイドリム、大胆なD-Dパスで、攻撃が目に見えてエネルギッシュになっていく。ダンプはバックスらしくないと思われがちだが、「自分たちで責任をとれるダンプならOKなんです」と藤澤コーチ。つまり、ロブして奥に入れたパックを自分で処理する自信があるとか、大柄だが敏捷性に欠けるDFを揺さぶるとか、ポジティブな意図のあるダンプなら構わないということだ。結果、パックがよく動くホッケーになり、1ピリは鍵がかかっていたサハリンのゴール前に、徐々にスペースが生まれていく。1ピリは単発のシュートで終わっていたバックスの攻撃に、二の矢、三の矢の厚み、しつこさが加わっていった。

2-4で迎えた3ピリ。サハリンの足が落ちたことで、バックスのOゾーンでの動きが際立っていく。42分、エントリーした寺尾裕道が左サイドでディレイ、パスを受けたDF伊藤剛史がゴール前に運んでFW齊藤哲也が3点目。47分には、FW鈴木雄大がやはり左サイドでタメをつくり、DF大津夕聖がゴール前に持ち込み、自らリバウンドをたたいて同点弾を決める。いずれも、1ピリには見られなかったゴール前、ゴール付近での崩しからの得点だった。

延長では双方無得点、GWSで敗れはしたものの、試合後のシッキネン監督は「サハリンは昨シーズンよりも2段階、3段階、力が上がっている。そのチームにこういう戦い方ができたことで、シーズンが進むにつれてチームがさらによくなっていく手ごたえを得られた」。藤澤コーチも「はっきり言って、サハリンの選手はこのリーグでやるべきではない(高い)レベル。今日の試合は、ウチの選手、チームにとって自信になった」と、表情は明るかった。

3試合で勝ち点「1」は、手放しで喜べる結果ではないだろう。それでも、試合途中にシステムを変え、そのことで「昨シーズンより2、3段階強くなった」王者を揺さぶった事実。それはきっとバックスの選手にとって、勝ち点以上の意味があった。

発煙筒を想起させる色彩でエキサイティングな空間をつくり出している、バックスの場内演出。アジアリーグ自体が人々の話題に上るようになれば、彼らの努力ももっと脚光を浴びるのだが

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