アジアリーグのレギュラーリーグ終盤戦がデリケートになっている。今週と来週にかけて、ひがし北海道クレインズと王子イーグルスが、ともに韓国2チームとのビジター6連戦。現状、王子はレギュラーリーグ3位にもっとも近い位置にいるが、プレーオフの残り2つのイスをめぐり、王子、デミョン、クレインズ、アイスバックスにとって、1つでも多くのポイントを得るための日々が続く。

クレインズは、韓国6連戦の最初の2試合でデミョンに6-4、1-0で2連勝。おりしも遠征中に、試合前のリサーフェスで氷の状態が悪化してパックドロップできなかった1223日のサハリン戦が5-0の不戦勝扱いになるニュースが飛び込んできたが、そこからデミョン、ハルラに敗れて連敗と、もうひとつ波に乗りきれない。

14日のコヤンでのデミョン戦、16日のアニャンでのハルラ戦、そして17日の練習を見ていて感じたのは、シンプルなブレイクアウト(自陣からの攻め出し)がもたらす一長であり、一短だ。

クレインズのDゾーンにパックが入ると、多くの場合、壁を使ってのリムパス、ゴール裏を通して逆サイドにパックを運ぶワイドリム、あるいはタテ方向へのチップボードと、シンプルな形でパックを出そうとする。Dゾーンにパックがなければ、失点の可能性は薄くなる。セーフティー・ファーストを念頭に置いた考え方だ。

とはいえ、一度離したパックをニュートラルゾーンで奪い合うとなると、体の強い韓国人選手がどうしても優位になる。それが60分続くとどうなるか。どこかでエアポケットの時間が生まれ、時間の経過とともに、特にFWに守り疲れからのダメージが蓄積される。惜しい展開に持ち込みながら、守り勝つまでには至らない。それが今のクレインズの課題といえる。

14日のデミョン戦後、キャプテンの上野拓紀(FW)はこう話している。「去年(昨シーズン)までのクレインズはマンツーマン、今季はゾーンディフェンスです。外から(シュートを)打たれるぶんには怖くないんですが、今日はちょっと守りの時間が長すぎました」。3ピリ5分、リバウンドをたたいて1点差に迫る2点目かと思われたシーンがあったが、ゴールが動いていたという判定でノーゴール。それもまた、チームの士気に影響したかもしれない。

16日のハルラ戦は、1ピリに決定的なチャンスを何度も築いたものの、得点ならず。GKヤニス・オージンシュの好守も光ったが、2ピリ開始1分、PKで1点を失い、やはりリズムをつくれなかった。最少得点差のまま試合は進み、3ピリ18分、GKを上げたクレインズはニュートラルゾーンでギブアウェー、重い2失点目を喫する。その31秒後にFW河合卓真がスコアしただけに、残念な展開だった。

ゾーンディフェンスはリスキーではないのか。その問いに、ハルラ戦から一夜明けた17日の練習後、プレイングコーチの齊藤毅(FW)はこう答えている。「確かにテクニックがあるチームであれば、パックを離さないほうが、より確実な試合運びができると思います。でも、今のクレインズは、全員が全員、それができるわけではありません。そうである以上、やはり今の守り方でいくしかないし、このやり方を高めていくことが勝ちにつながると思っています」。確かにハルラ戦を例にとれば、9月の釧路での3連戦は0-6、2-5、2-7で3連敗。時間の経過とともに、連携が高まっているとみることもできる。

今のクレインズの戦い方でいうと、先制点がかなりのウエートを占めるだろう。リアクションプレーを軸とする守りは、ことのほかスタミナを要する。先制点を奪ってエネルギーを高め、その勢いで試合を優位に進めていくことが必須になる。

一方で、チームの雰囲気が明るいのはストロングポイントだ。その世代のエリートが集まっていた日本製紙時代は、負けが込むと選手間のストレスが異常に高かった。トッププレーヤーの集まりであったがゆえに、起用法や戦術面での不満を口にする選手が、他チームに比べて格段に多かったのだ。

「でも、今のクレインズは違います。このチームでホッケーをやりたいから残留した、入団したという選手ばかり。今、アウェー16連戦中(サハリンとの1試合を除く)ですが、みんなで守って、みんなでハードワークして、最後のホームゲーム(2月)でプレーオフを決めたいと思っています」と上野は言う。

韓国での試合も、残すはあと2つになった。そこでクレインズは「勝つためのディフェンス」確立のヒントを得られるか。目が離せない1分、1秒が続いている。

遠い韓国の地まで応援に来たサポーター。来てくれた人たちのためにも勝ちたいと口にする選手は多かった。

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