どのチームにとっても、今季は困難の伴うシーズンになっているが、関東大学リーグ戦のディビジョンⅠ・グループB(1部B)で戦う日本体育大は、このチームならではの難しい日々を過ごしている。

本来の実力でいえば、1部Aの中堅あたり。しかし日体は昨秋の入替戦で大東文化大に敗れ、Bに降格している。1年でのA復帰を目指していたが、今秋のリーグ開幕前に入替戦を行わないことが決まった。つまり日体にとっては、1部Bで目標通り1位になったとしても、来季もBで戦うということだ。

日体の今季のキャプテンは、FWの金子嵩基(かねこ・たき、4年)。3年生の昨季も、ゲームキャプテンとしてCマークを着けている。チームスタッフの期待、チームメイトから信頼されていることが伝わってくるが、今季はこの2年間の集大成と位置づけていただけに、「B降格」に始まり、「インカレ中止」「今秋は入替戦なし」というバッドニュースは彼には重くのしかかった。

駒大苫小牧高では1つ目のセンターとして活躍。しかし、大学受験では第1志望とは縁がなく、日体へと進んだ。「日体に入ってからも、ずっと上(トップリーグ)に行くことを目指してやってきました。それが、去年は入替戦で負けて、今年はコロナ。悔いが残りますし、正直、がっかりという気持ちもあります。今も、割り切れているかといったら割り切れてはいないんですが、その中でも、やるべきことはやっていこうと強く思っています」

1部A、Bを通じて2番目に多い36選手を抱える日体は、部員間の競争が激しい一方、これまでは、試合に出る人と、ベンチを外れる人との間で「温度差」があったと金子は言う。「昨シーズンまでは、試合に出ている人はモチベーションが高いけど、出ていない人はあんまり…という雰囲気でした。そういう空気は僕が1年生のころからあって、それが日体が強くなれない理由なんじゃないかと思いながら、ずっとやってきたんです。今季は4年生が率先して練習するということをテーマにやってきました。まず4年生が頑張って、それを後輩たちに見せていく。それで後輩たちにも頑張ってもらって、来年、再来年、1部Aの上位とも対等にやれるチームになるのが今の目標です」

春の秩父宮杯、年度総決算のインカレは、トーナメントで勝っていけばトップチームと対戦できる。自分たちが卒業しても、後輩たちが上位校と互角に戦えるチームになれればいい。それが、金子たち4年生の思いだ。

しかし、そう思えるようになるまでには、葛藤もあった。「インカレに続いて、入替戦もなくなった。やっぱり4年生と3年生には、ガクッときた部分はありました。正直にいうと、抜け殻のようになった時期もあります。でも、4年生同士、そして4年と3年で何度もミーティングをして、『やるしかないよね』って。まずは、アイスホッケーができていることに感謝してやっていこうと、そこは選手同士で何度も話し合って、意思統一はできていると思います」

日体は先週までの2試合でともに大勝。金子は、開幕(1017日)の神奈川戦は2得点2アシスト、同24日の立教戦では4アシストをマークしている。

現在、金子は教育実習のためにチームを離れ、2週間の日程で母校の駒大苫小牧高校へ。今季最終戦、1121日の青山学院戦の朝に苫小牧を発ち、チームに合流するというスケジュールだ。

金子のお父さんは、元王子製紙FWの和仁さん。兄の立樹さんも駒大苫小牧、早大で活躍したホッケー一家だ。金子自身は、来春からは大学院に進学予定。「もし入ることができれば、大学院に行きながらトップリーグのチームで…ということも考えています」。入学当初の夢も、まだあきらめてはいない。

「僕の特徴は、プレーもそうですし、言葉でも周りを引っ張っていけることだと思っています。誰かがやってくれる…というのではなく、まず自分がやる。それを周りに見せていって、チームの中に温度差をつくらない。みんなでやる。みんなで頑張る。それが、日体が強くなっていくために必要なことだと思っています」

金子がチームを離れて最初の試合(1031日)で、日体は8-1で専修を下し、開幕3連勝を果たした。みんなでやる。みんなで頑張る。金子にとっては、自分でゴールやアシストを決めるよりも、うれしい試合だったかもしれない。

(文・山口真一、写真・森健城)

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