第70回全国高校総合体育大会・アイスホッケー競技 準々決勝(1月23日、長野県岡谷市・やまびこスケートの森アイスアリーナ)

清 水 0(0-1、0-1、0-3)5 武修館

 

今季の高校トップ5がクォーターファイナルでぶつかった。釧路地区ナンバーワンの武修館(白と黒のユニフォーム)は、今大会ノーシード。前回大会の準々決勝で埼玉栄に敗れているためだ。今季は公式戦が軒並み中止になり、武修館と清水の練習試合での対戦成績は、武修館の3勝1分け。はたして本番でも数字通りの結果が出た。

先制点をめぐっての立ち上がりは、むしろ清水にスピード感があった。しかし、清水はOゾーンに入ってからの決め手を欠く。シュートの精度が低いというより、武修館が局面、局面においてアウトナンバー、いわゆる数的優位の状況をつくり出していたからだ。

武修館は、Dゾーンでパックを奪回してからも、シンプルかつスピーディーだった。ボードを使ってチップアウト、あるいはオープンを走るF1へのロングパス。瞬時に判断し、実行する。Dゾーンでの時間を1秒でも少なくするという約束事が徹底されていた。

ジャブの応酬が続いた1ピリ後半。武修館が先制する。清水の反則によって2人多い19分、キャプテンのFW種市悠人(3人)が難なくスコア。2ピリの28分にも、村瀬鼓太郎(2年)のディフレクションで2点目を奪う。清水もこのピリオドは再三にわたって攻め込んだが、武修館DF陣のハードヒットに手を焼き、思い通りのフィニッシュにつなげられない。逆に3ピリは序盤から武修館に連続ゴールを許し、勝負を決められた。

ぱっと見は、さほど差のない両校。明暗を分けたのは、あと1歩が出るか、出ないか、その差だった。たとえば清水のFWがパックを持ち、ニュートラルゾーンを突破しようとする。武修館のFWは、エントリーされる前にカバーに行くのだが、単にスティックを伸ばすだけでなく、パス、あるいはパックキャリーの正確さを奪うように、1歩ぶん相手との距離を詰めていた。そしてパックを奪ってからは、パックキャリア以外の4人が、すべてバスの受け手になれるようなポジションへと足を動かす。ハードなプレーが続き、エネルギーが疲弊する中で、武修館は次の「1歩」への努力を終始、怠らなかった。59分59秒の5点目は、その象徴だ。

敗れた清水・高橋仙人監督は、「取り組む姿勢というか、技術以前の差を感じました。粘りであったり、一生懸命さという部分です。武修館はしつこく、体も一段低くして守っていましたね」。清水にとって痛恨だったのは、キャプテンのFW五十嵐唯翔(3年)の欠場だ。1月12日、駒大苫小牧との練習試合で、シュートブロックに行った際に足を骨折。「五十嵐は、頑張る姿を周りに見せて、いい雰囲気をつくれる選手。彼が出ていれば、また違った空気になったかもしれない」と高橋監督は唇を噛んだ。

前回の帯広インターハイは、当時1年生だったFW井口藍仁ら埼玉栄にリンクを広く使われ、苦杯を喫した武修館。清水との試合は、この1年間、彼らがどういう努力をしてきたかを示す内容だった。準決勝の相手は、最多優勝を誇る駒大苫小牧。練習試合は武修館の2勝1敗1分けだが、はたして清水戦と同様、相手よりも1歩まさることで試合を優位に進められるか。真価が、そしてこの1年の進化が問われる一戦になる。

(取材・山口真一)

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