70回全国高校総合体育大会・アイスホッケー競技(1月24日、長野県軽井沢町・風越公園アイスアリーナ)

▽準決勝・第2試合

武修館 3(1-0、1-1、1-0)1 駒大苫小牧

 

この試合に先んじて行われた、準決勝の第1試合。スタンド通路には、埼玉栄の逆転勝利を願う集団が陣取っていた。

「埼玉、絶対に勝てよ」

「勝って決勝に来い、埼玉」

無観客で行われた今冬のインターハイ。熱心なファン、父母の姿はそこにない。「埼玉、勝てよ」と祈っていたのは、第2試合に向けてウォームアップをする武修館の選手だった。

1年前の帯広インターハイ。武修館は、準々決勝で埼玉栄に敗れた。クォーターファイナル一番の好カード、しかも埼玉栄には全国選抜で話題をさらった1年生FWがいたこともあり、帯広の森第二リンクは二重、三重の立ち見客が取り巻いた。客席の狭いアリーナがぎっしり埋まると言葉では表現しにくい興奮が生まれるものだが、いわゆる「でき上がった状態」の中で、武修館は埼玉栄の倍のシュートを放ち、それでいてリードを一度も奪うことなく、夏の全国選抜に続いて「3-2」のスコアで敗れている。

それからちょうど365日。武修館の2年生以上の選手は、「埼玉に勝つ」ことを胸に秘めて練習を積んできた。キャプテンのFW種市悠人(3年)は言う。「1年前の埼玉戦は自分たちのホッケーができずに、調子を出せないまま終わってしまった。今日は第1試合を見ながらみんなで言っていたんです。埼玉来い、埼玉来い、と」

結果、1年越しの恩返しはならなかった。それでも第1試合終了のブザーと同時に、武修館の選手は気持ちをすっと切り替え、前回のファイナリスト・駒大苫小牧に挑んだ。

 

準々決勝の清水戦では多く見られたオープンサイドへのロングパスは、この試合では、間違いなく通るケースを除いて封印された。「駒澤の選手は足が動くので、パスをカットされたらその瞬間からピンチになります。だから今日は、短くつないでいこうと。そこは徹底しました」(種市キャプテン)。しかし、目指したパスホッケーは、やはり駒澤の速く厳しいプレッシャーに遭って実現しなかった。

それでも、武修館は3本のゴールを奪う。PPの第1ピリオド4分、種市がゴール前の混戦でリバウンドをたたく。2ピリに入り、31分に追いつかれたが、PPを得た4分後に、FW村瀬鼓太郎(2年)がゴール前で合わせて決勝の2点目。試合終了直前には、駒澤のDDパスをカットして無人のゴールに流し込み、勝利を決定づけた。

2ピリ以降、主導権を握っていたのは駒澤だった。撮影した写真を見返しても、サイドレーンを駆け上がる駒澤FWの姿がやたらと多い。それは同時に、武修館が苦しい時間帯を耐えていたことを物語っていた。実際、もし自分がアンダー代表のスタッフになったと仮定して観戦していたら、ノートにはずらりと駒澤の選手名が並んでいただろう。

武修館・角橋裕樹監督は「今日は、つなぐホッケーはまったくできませんでした。駒澤に勝つカギはPPと思っていましたが、(エンプティを除く)得点はすべてPPだったのはよかったですね」。さらに、取り囲んだ記者たちを前にこう話した。「1年前、新チームになった時点では、今年は苦しいかなと思っていました。部員は23人。例年になく少ないですしね。でも、私から見ても、この1年で驚くくらいの成長をしてくれました。優勝を狙えるチームになったと思います」

決勝の相手・白樺学園とは、今季の練習試合は2勝1敗。そのうちの1敗はアンダー代表不在の中で喫したもので(白樺からは選出なし)、1月11日にフルメンバーで戦った時には3―1で勝っている。武修館の決勝進出は5年ぶり。5年前の盛岡大会は「武修館」という校名になって初めての優勝を達成している。白樺、武修ともに「去年ほどは…」といわれながら、努力の積み重ねによって強くなったチーム同士のファイナル。どちらが勝つかは予想できないが、素晴らしい試合になることだけは間違いなく断言できる。

(取材・山口真一)

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