70回全国高校総合体育大会・アイスホッケー競技(1月24日、長野県軽井沢町・風越公園アイスアリーナ)

▽準決勝・第1試合

白樺学園 7(4-1、1-2、2-2)5 埼玉栄

公式戦も、練習試合も、今季ここまで対戦はなし。シーズン最初にして最後、しかも高校日本一を決めるトーナメントでの一戦は、第1ピリオドに勝負のアヤが凝縮していた。

白樺は、立ち上がりから攻めも守りも徹底していた。ニュートラルゾーンより後ろでは必ず3人以上で中を固め、Oゾーンに入るとデッドアングルからもシュートを放ち、相手GKを揺さぶった。戦前の評価は「埼玉栄やや優勢」。白樺は前回大会を制したディフェンディング・チャンピオンでありながら、謙虚に相手を研究し、長所を消そうとしていたことが1ピリの動きからうかがえた。

試合最初のゴールは、まだ空気が落ち着かない0分42秒、白樺1年のFW金子輝叶によって生まれる。8分に埼玉栄が1点を返すが、白樺はPPの11分、埼玉栄がリバウンドを掻き出そうとしたところを1年のDF高田麟がカットし、そのまま押し込んで2―1。さらに14分、1年生には負けられないとキャプテンのFW夏野晃輔が、17分にはFW亀本純門が、3年生の誇りを示す連続ゴール。戦前の評価を覆す4-1というスコアで、最初のピリオドを終えた。

2ピリ最初の得点も白樺。エースFWの大友宏太(3年)が5点目のゴール、しかしこの得点を境に白樺の動きがトーンダウンする。「アタッキングゾーン、Dゾーンとも、プレーがワンテンポ遅くなってしまった」と湊谷匡晃監督。それまで完全にコントロールしてきたDゾーンが、徐々に埼玉栄にかき回され始める。

2ピリ中盤からは完全に埼玉栄のペースだった。34分、36分と連続ゴール。このピリオドを終えて白樺2点リードの5-3ながら、この時点で試合の行方はまったく読めなくなった。3ピリに入って白樺も持ち直すものの、埼玉栄は44分に4点目を加え、ついに1点差に。埼玉栄はなおも白樺ゾーンを攻め立て、同点、さらには逆転を予感させた。

その流れを断ち切ったのが、白樺のキャプテンだった。埼玉栄のFWが折れたスティックのグリップを手放さなかったことで得たラッキーなPPを生かし、51分、夏野がリバウンドをしつこくたたいて6点目(記録上、人数はイコールながら、実質PP)。白樺にとっては27分ぶり、3連続失点後に得た、大きな意味を持つゴールだった。

試合を終えた両チームの監督が口をそろえたのが、最初のピリオド「4-1」の意味の大きさだった。「ご覧の通り、1ピリがすべて」と埼玉栄・格地現監督。「ここまでの2試合は大差がついたこともあって、いきなりの失点で雰囲気にのまれたかもしれません。逆に白樺は、昨日の準々決勝で九死に一生を得る試合をしていた(延長2―1で苫小牧工に勝利)。だから今日は、立ち上がりから目の色が違っていました。ウチが本来やるべき、チャレンジャーとして試合に臨むことができなかった」

白樺・湊谷監督も「1ピリの4-1が大きかった」と、このピリオドでの貯金を勝因に挙げた。埼玉栄のエース、FW井口藍仁(2年)のフローティングには最大の注意を払っていたものの、それでも井口に2点を決められた。しかし、最後まで泥くさいプレーを続けることで「同点」は許さなかった。1ピリの4ー1が、チームを精神的に助けてくれた。

至近10年間では、駒大苫小牧の5回に次ぐ4回の優勝を果たし、1年前は地元・帯広大会を制した白樺。それでも、その実績をいったん隅に置き、あくまでも「今」のチームとしてなりふり構わず戦った姿こそ、前回優勝者としてのプライドだった。

(取材・山口真一)

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