第70回全国高校総合体育大会・アイスホッケー競技(1月25日、長野県軽井沢町・風越公園アイスアリーナ)

▽決勝

白樺学園 2(1-4、0-1、1-0)5 武修館

「完勝」。文字通り、武修館の完全勝利だった。プレースピード、エンドゾーンでの強さ、試合運びのうまさ、チームワーク。今季の高校アイスホッケーの頂点にふさわしいチームが、困難な1年間の最後に笑った。

今季の武修館のカラーは「攻撃型チーム」。それでも前日、準決勝の駒大苫小牧戦はエンプティを除けば2点止まりで、角橋裕樹監督と選手には不満が残ったという。

試合前の控え室で、角橋監督の檄が飛んだ。「今日がこのチーム最後の試合だ。最後くらい、ウチらしくアグレッシブに行きたいよね。今日は最初から行くぞ!」。その言葉が、開始31秒で現実になる。FW西脇颯(2年)がタテに抜け出し、GKとの1対1を制して先制ゴール。1分後には、ゴール裏を通すパスからFW堤虎太朗(3年)が押し込み、1分足らずで2点を先行する。相手と向き合った瞬間に鼻先にパンチを打ち込み、一瞬ひるんだところで腹に2発目を入れる…ケンカの必勝法を地で行く、えげつない攻めだった。

そこからもなお、武修館は足を止めない。PPの9分に3点目、1失点後の18分には4点目。1ピリを終えた段階で4-1と、まだ試合の三分の一ながら、プレーの内容によって白樺の選手に「差」を突きつけた

白樺学園・湊谷匡晃監督は、武修館の強さをこう述懐した。「プレーのスピードもそうですし、判断の速さを感じました。ボード際も、武修館の選手は強かった。ウチの選手が体を押さえても、スティックを殺しきれない。当たりに行ったのに、パックをゴール前に出されてピンチになった場面が多くありました」

特に武修館のDゾーンでのチェックは出色だった。当たりの強さ、当たりに行くタイミングのよさ。白樺とすれば、サイドからエントリーしても武修館の選手が1人、2人と代わるがわるプレッシャーに来るので、自由な組み立てができない。ゴール前にたどり着いても、スティックを殺されてシュートがうまくミートしないケースも多々あった。

角橋監督は、4点を奪った1ピリよりも、むしろ2ピリのゲーム運びに「武修館らしさを出せた」と話す。「相手ゾーン(武修館にとってのОゾーン)の奥深い所でパックを動かしていく。それが、この春から目指していたプレーです。今日の2ピリは、それがよくできていた。この大会、いや、シーズンを通してみても、今日の2ピリが一番よかったんじゃないかな」。自分たちが目指してきたプレー、一番いいプレーが、インターハイの決勝で出た。それは、勝つための正しい努力を積んできたことの証明でもあった。

昨季は全国選抜、インターハイで、ともに埼玉栄に2-3で敗れて8強止まり。「同じ相手に2度負ける。監督生活の中で一番苦しいシーズンでした」と角橋監督は振り返る。同じく1年前に悔しい思いを味わったFW種市悠人キャプテン(3年)は、「埼玉に負けたことで、プレーだけじゃなく、内面も変わる必要があるんだと気づかされました。今年は人数が少ないぶん、下級生がプレーしやすい雰囲気をつくったつもりです」。FW村瀬鼓太郎ら2年生が活躍し、1年生ゴーリーの大塚一佐が大会を3失点で終えたことも、背景にはチーム内の風通しのよさがあった。

悔しさを持つだけでは、勝負には勝てない。悔しさをエネルギー源にして努力を重ねたことが、高校日本一に結びついた。「本当に、いいチームになれました」と角橋監督。その言葉は、武修館の23人にとって一番大きな勲章だった。

(取材・山口真一)

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