日程やフォーマットを大幅に変更し、2年続けて「特別大会」として開催された関東大学リーグ戦ディビジョンⅠ(1部リーグ)。グループAの戦いは残すところ1日、1123日の4試合を残すだけになった。

当初は、8校が1回戦総当たりで予選リーグを行い、上位校が決勝リーグを、下位校とグループB上位校が順位決定リーグを行うことが有力だった。ところが、8~9月のコロナ感染者の状況を鑑みて、前回と同じ1回戦総当たり(各校7試合)に。60分で同点の場合は延長戦を行わず即PS戦に突入と、1試合、1得点の意味合いの大きい戦いになった。

 

11月20日には、春の秩父宮杯覇者であり、この秋も5戦全勝で首位を走っていた東洋が、昨秋の王者・中央を5-3で下して6連勝(勝ち点18)。翌21日の明治-早稲田戦が60分を終えて同点だったため、この時点で、残り1試合を合わせても東洋の勝ち点を上回るチームがなくなった。東洋のリーグ優勝は2011年以来、10年ぶり。いうまでもなく震災の年であり、今回もまた困難を乗り越えての戴冠になった。12月、長野で開かれる全日本選手権は、大学・社会人チームが2年ぶりにトーナメントに名を連ねるが、東洋はトップリーグのチームとも「いい試合」をするだろう。

東洋のメンバーは、白樺学園高1年時からフル代表に選ばれてきたGK佐藤永基(2年)を筆頭にU18、U20の代表を務めてきた選手がずらりと揃う。加えて、春に比べてさらに「チーム力」がアップしている。個の技量がうまくミックスされ、ユニットとしての力が増しているのだ。20日の中央戦は2ピリ早々に先制点を許したものの、3分後に同点、29分には逆転。32分に2-2になったが、3ピリ開始から37秒でFW中島照人(2年)が勝ち越しのゴールを決めた。さらに46分には、中島がハットトリックとなる追加点。中央も最後までスケートして47分には1点差に迫ったが、試合終了2秒前にエンプティで5-3。東洋が、このリーグにおける最大のライバルを下した。

立ち上がりは、むしろ中央のペースだった。Oゾーン深くまでフォアチェックをかける東洋に対し、中央は相手DFの裏を突くストレッチ狙いで、アタッキングのブルーライン付近にFWを1枚配置し、タテに伸びた東洋のスペースを利して決定機をつくり出した。1ピリのシュート数は、東洋の20本に対して中央は6。それでも、有効な攻撃機会は東洋に劣っていなかった。

2ピリまでは2-2。東洋の「凄み」は3ピリに表れた。3点目、4点目は、いずれもゴール前の競り合いを制して強引に押し込んだもの。個の技量だけに頼らない泥くささ、ここぞという場面で体を張れる強さを感じさせた。粘りとしつこさ、勝利への執念。試合に負けることで得られる成長もあるが、勝ったチームはさらに大きく成長する。春の優勝経験が東洋の力をさらに伸ばしていることを実感させた。

重要な一戦を取りながらも、試合後の鈴木貴人監督に笑顔はなかった。「今日は、パックを持っている選手の努力はいいものがありましたが、連動性という点で改善すべき点があったと思います」。このチームはまだまだ伸びる。だからこそ満足していないのだろう。

開幕前に主力選手が抜け、不安を抱えたままリーグ戦に突入した中央は、逆転優勝の可能性はついえたものの、春と同様に東洋と互角に渡り合い、地力を証明した。「1ピリを0-0で終えたのはゲームプラン通りでした。そこからのペナルティ、ゴールの判定(ビデオジャッジとなった東洋の4点目)は…。ちょっと今は、負けた理由が何だったのかを口にするのは難しいですね」とFW矢島翔吾キャプテン(4年)。それでも「今夜、映像を見て頭を整理して、23日の最終戦(明治戦)に向けて準備したいと思います」。八戸了監督は「ホッケーは難しいというのを今日、あらためて感じました。でも、最終戦で明治に勝って、絶対に2位を取って全日本に出場したい」。優勝は逃したが、中央の挑戦はまだ終わってはいない。


21日、早稲田と明治の一戦は、PS戦の末に明治が5-4で勝利。明治のキャプテン、DF青山大基(4年)は、「1ピリの速いフォアチェックが、最後まで続きませんでした。3ピリは体力的に苦しくて2:1(2人対1人)の場面を多くつくられてしまった。そこが苦戦の理由だと思います」と頭をかいた。2ピリ開始20秒、DDパスを受けた青山は、そこから体勢を整え、左から豪快なロングシュートを決めた。これで2-1、1点を勝ち越したものの、その5分後、ノールックのブレークアウトパスを早稲田FWにカットされ、同点ゴールを許してしまった。「ゴール裏でパックを拾っている時に後ろ(ニュートラルゾーン)から中條(廉、FW・3年)の声がしたんです。速くつなごうと思ってパスを出したつもりが…。誰も(フォアチェックに)来ていないんだから落ち着いて出せばよかったのに」。23日、最終戦の相手は中央。1年前のリーグ戦、優勝をかけた試合で苦杯を喫した相手だ。「優勝はなくなりましたが、4年生が引っ張って、最後は勝って終わりたいです」。来季はトップリーグでのプレーが待っている。その前に、学生最後の東伏見でいい記憶を刻みたい。

早稲田のキャプテン・FW杉本華唯(4年)は、PS戦の3人目に登場。両チームを合わせて5人連続でPSを決める珍しいシチュエーションで、プレッシャーもあったのか、左、右とゴール前で揺さぶりをかけたもののGKを巻ききれなかった。「今日はウチのキーパー(村上隼斗・4年)が頑張ってくれて、粘った試合ができていたんですが…」。60分を終えた時点で優勝の可能性はなくなり、それでも「この試合は勝って終わろうと、チーム全員、気持ちが落ちることはありませんでした」と話す。今秋はここまで4勝2敗。リーグ開幕時点に比べて「チーム力が上がっているのを感じます」という杉本。「選手個々が与えられた仕事をするのが早稲田のホッケー。最終戦は東洋が相手ですが、自分たちがやるべきことをやれば…という気持ちはあります。東洋に全勝優勝をさせたくない。東洋に勝つために頑張ってきた他校の思いも背負ってぶつかります」

今年は変わった。よくなった。毎年のようにそう言われている法政は、21日の慶應義塾戦を終えて2勝4敗。前年の順位をもとにカードが組まれるために、法政は毎年、リーグ前半戦はすべて上位校との対戦になり、そこで勝ち星を挙げられずに低空飛行…という現象が続いている。「たとえば守りの場面で、誰が(相手やパックに)行くのか、周りはどうするのかというコミュニケーションがまだ足りない」と外久保栄次監督。試合数が減ったこと、何より練習拠点の東大和が使えないことが影響しているのだろう。

それでもキャプテンのFW伊藤俊之(4年)は「チームは良い方向に向かっている」と信じている。「優勝の可能性はリーグ前半でなくなりましたが、試合に対して気持ちを切らさないように、そこはチームとして徹底しているつもりです。今年は法政が変わるシーズン。その思いは今も変わっていない。勝つことに貪欲な姿勢を最終戦でも見せていきます」。慶應には3人対5人のPKで3失点したが、伊藤の言う通り、集中力は最後まで切らさなかった。優勝しても、しなくても。順位が何位であろうとも。今シーズン最後の東伏見、彼らに「消化試合」はない。

(取材・山口真一、写真・森健城)

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