2022年1月9日 アジアリーグ・ジャパンカップ(後期2回戦)

レッドイーグルス北海道 6(1-0、3-1、2-0)1 横浜グリッツ


12月19日、長野ビッグハットで行われた全日本選手権の3位決定戦で、イーグルスは延長の末に3-4でアイスバックスに敗れた。立て直しが必要だという菅原宣宏監督に、そのために何から手をつけますかと質問したのだが、帰ってきた答えが「それを今、考えているところです」。ジャパンカップ、年内の18試合は17勝1敗。それだけの力がありながら、なぜ大事な試合で結果が出ないのか。現場の責任者として返答に窮するのも無理はなかった。

年明け最初のカード・グリッツ戦は、イーグルスにとっては全日本選手権以来となる公式戦。あの日の会見で質問した手前、その「答え」を見たくて苫小牧に飛んだ。初戦が行われた8日は他の仕事の都合でどうしても東京を離れることができず、2戦目のみの取材になったが、全日本選手権からの変化の片りんは、確かに感じることができた。

カード初戦(8日)は、映像を通しての「リモート取材」。ノートには「リバウンドに対するイーグルスの執念」「技術が高い大澤(勇斗・FW)の泥くささが光る」「この試合にかける成澤(優太・GK)の気迫」という記述が残っていた。はたして2戦目(9日)はゴーリーこそ成澤から小野田拓人に代わったが、やはり真っ先に目を引いたのは、フィフティ・フィフティのパックに対するイーグルスの寄せの速さ、そしてゴールへの執念だった。

 

イーグルスの先制ゴールは1959秒。FW彦坂優がゴール裏を回ってシュート、その跳ね返りをDF山下敬史が遠目から打ち込み、ゴール右に詰めたFW髙木健太が角度を変えて生まれたものだった。

2ピリ開始早々の21分には、FW中屋敷侑史がDF2人のプレッシャーに遭いながらも2点目。PKで28分に失点するも、32分にはFW百目木政人が、やはり相手DFをかいくぐって3点目。38分、42分にもパスで崩して得点を加え、52分にはリバウンドショットで6点目を挙げた。

 

試合後の会見で菅原監督は「今、取り組んでいることを出せた。今後に向けて、いいものが見られたと思う」。得点力を上げるための練習を、ここ最近は重点的に取り組んできたのだという。

全日本選手権の質問の「続き」を聞いた。では得点力を上げるために、具体的に、何に取り組んだのか。「リバウンドのための場所どりだったり、要はセカンドパックに対する反応、次のプレーに対する反応です」。なるほど、グリッツの選手との「接点」で、イーグルスの選手はことごとくまさっていた。グリッツの浅沼芳征監督は「この2日間、イーグルスさんは1対1で強かった。ああいうホッケーをされてしまうと…」。全日本選手権ではFWを4つで回すことで競ったスコアに持ち込んだグリッツ。技術の高いイーグルスの「個」に対し、5人で対応して勝ち目を見いだしたかったが、イーグルスの5人に、揃いも揃って「次のプレー」に対してなりふり構わぬ姿勢で来られては、対抗するのは難しかった。

 

イーグルスを見ていて、いつも思うことがある。たとえばグリッツが顕著だが、球技の世界では、強いチームと対戦することで下位のチームが力をつけていくことがままある。アイスホッケーのトップリーグでいえば、「イーグルスに勝つため」に相手チームがいつも以上にゲームスカウティングをして、普段の120%の力でぶつかってくる。そういう局面でイーグルスはいつも受け身で、それが今回の全日本だったり、レギュラーリーグで突っ走りながらプレーオフで負けてしまうという結果につながっている。

イーグルスは、どうやって力を伸ばしていけばいいのか。今のリーグに、イーグルスの力を引き上げてくれるチームはありますか。菅原監督に尋ねると「そんなふうに考えたことは一度もありません。簡単に勝てる試合なんて、1つもないですから」。

確かに。一方で、FW出身の小川勝也コーチはこんな話をしてくれた。「たとえば来週はハルラ戦だ、サハリン戦だとなれば、チームは自然と引き締まっていくものなんです。でも、今のジャパンカップで、そういうムードを出していくのは難しい。だからスタッフは常に選手に課題を与えて、そこをクリアしたらまた課題を与えて…というのを繰り返しています」

前日(8日)に完封勝利を挙げた成澤はこう言った。「昨日は、ゴール前に立ってすごく緊張したんです。大切な試合でしたから。全日本選手権で、5点とか4点とか、取られてはいけない点数を取られてしまった。ロースコアにしなければ勝てないのに、一発で入れられた場面もあったし、流れを変えるためのビッグセーブもできませんでした。相手がどことかは関係なく、全日本の後の最初の試合を失点ゼロで終える。それが、チームにとっても、僕にとっても、重要だったんです」

戦力が整っていれば必ず勝てるのかといえば、そうではない。他チームのファンからすればうらやましくなるような選手層であっても、その立場になってみないとわからない辛さもあるだろう。レッドイーグルス北海道として初めて臨んだ全日本での「4位」。それが彼らをどんなふうに変えていくのか、そこにフォーカスしてジャパンカップの残り試合を見ていくのも興味深いことではないか。

(取材・山口真一)

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