▽北京五輪2022 女子予選ラウンド・グループB

スマイルジャパン(3勝1敗・勝点9) 2 (1-0、0-1、1-1、延長0-0、PSS1-0) 2 チェコ(2勝2敗、勝点7)

※日本のグループB・1位通過が決定。


内容がいいに越したことはないが、それ以上に「勝つ」ことが重要視される試合がある。2022年、北京五輪。スマイルジャパンにとって2月8日のチェコ戦こそ、その最たるものだった。

決勝トーナメントに進む3チームを決める予選B組。1位通過の可能性は、日本とチェコに絞られた。どんな形であれ、勝ったほうが1位。決勝トーナメント準々決勝はA組の3位が相手となり、勝つことが難しい北米の2強との対戦を避けられる。つまり、2位ではなく1位通過が、メダルの可能性を高めることになる。

日本にとっては予選リーグの最重要ゲーム。しかし立ち上がりから、いきなりチェコのパワーに気圧された。体格・体力で上回るチェコが、1ピリは6:4でパックを支配した。

それでも、先制したのは日本。PPの4分、FW床秦留可が自らのシュートリバウンドをたたいてファインゴール。いわゆるアオテンでスティックを手放した相手GKをよく見てハイショットを突き刺した。

2ピリに入り26分に同点とされたが、3ピリ開始23秒、またも床秦が自分のシュートの跳ね返りを押し込んで2-1とする。しかし45分、チェコにゴールを許して2-2。そのまま60分間を終了し、5分の延長でも決着が付かず、5人ずつのPS戦(ペナルティショット・シュートアウト)でFW久保英恵が両チーム唯一の得点を挙げ、なんとか日本が勝ち切った。

なんとか勝ち切った…と表現したが、この日の日本は、それこそが「ミッション・コンプリート」だった。1ピリよりも2ピリ、2ピリよりも3ピリと、時間の経過とともに体力で勝るチェコが優位だったのは明らか。仮に5分間の延長戦の次が、PS戦ではなく再延長だったら、勝敗はひっくり返っていたかもしれない。

「チェコは1つ目から4つ目まで、ほとんど力の差がなかった。そこがウチにとってはきつかった」と飯塚祐司監督。セットによる力のバラつきがなく、日本はシフトごとに体力を奪われていく。確かに1ピリは、パックを保持するF1をF2が追い越していくプレーが再三見られたが、時間が経つにしたがってその連係が影を潜め、パックへのアプローチはチェコが先行した。日本は思うような攻め出しができず、パックアウトがアイシングとなり、失点につながるケースもあった。

2ゴールの床秦、PSSで決勝点を挙げた久保はもちろん、GK藤本那菜の体を張った守りが光った。「リバウンドを出さないことを心掛けましたが、今日の自分の出来としては及第点ではなかったと思います」と藤本那。それでも、中国戦からの中1日で気持ちと体を立て直し、大きな1勝をもたらしたことに、「今はほっとしています」と柔らかい表情を見せた。

「今日は、内容としては相手のゲームだったと思います」と言ったのはキャプテン・FW大澤ちほだった。「それでも、そういう試合を勝ち切ることができたのが大きいんだと思います」

なりふり構わず戦い、勝ちをもぎ取る。それがかなわないのが、日本のアイスホッケーの長らくの課題だった。だから、この日のスマイルジャパンはこれでよかった。どんなに押されていようと、最後は勝つ。それは、スマイルジャパンがこのオリンピックの中で強くなっている証でもあった。

(取材・山口真一。試合中の写真は権利関係により掲載できません。ご了承ください)

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