▽アジアリーグ・ジャパンカップ後期1回戦(3月12日・ひがし北海道クレインズアイスアリーナ)

ひがし北海道クレインズ 4 (1-2、1-0、1-1、延長1-0) 3 横浜グリッツ


 逃した魚は大きかった。グリッツとすれば、そんな試合ではなかったか。両チームともプレーオフ進出の望みを絶たれ、無観客で行われた今季の最終カード。前期2勝を挙げたグリッツは、1ピリに2点先制しながら逆転でクレインズに敗れ、後期11連敗となった。

開始10分で2-0。グリッツはしかし、そこから(3ピリ前半の)44分までに3連続失点を喫する。55分、PPを生かしてFW石井秀人がワンタイマーの同点ゴール。ところが延長の64分、スペースを生かしてOゾーン右から中央に走り込んだクレインズFW上野拓紀に決勝の4点目を奪われた。

 

「内容としてはよくなかった試合。得点が競っていたのはたまたまです。シュートチャンスが少ないというより、二の矢、三の矢が打てていない。イーグルスとの試合ではあったしつこさが、今日はありませんでした」と浅沼芳征監督。確かに終盤までスケートできてはいたが、得点機、決定機という点では、クレインズがはるかに上回っていた。

 

1年目の昨季を思えば、どのチームと対戦しても「試合」にはなっていて、実際に前期は2つの勝ち星を得た。後期もFW池田涼希がケガから復帰して以降、ウイングの松渕雄太、石井との3人が「フラット3」でエントリーし、速いつなぎでスコアするなど、これまでになかった得点パターンを築き上げてもいる。しかし、それが勝ちにつながらない。歯がゆい思いをしているファン・サポーターは多いだろう。

見ていて気になるのは、「負ける」ことに選手が慣れてしまっているのでは…と思えることだ。もちろん負け試合の中にも、この先につながる材料だったり、成長を感じとれる要素はある。しかし、たとえばこの日であれば、「勝てた試合を落としてしまった」と落胆する選手が、もっといてもよかったのではないか。

キャプテンのDF熊谷豪士、菊池秀治、この日は終盤まで足が落ちなかったFW鈴木ロイなど、トップリーグで経験を積んできた選手からは、試合に負けることを重く受け止めているのが伝わってくる。が、チーム全体でみれば、はたしてどうだろう。試合に負けることを一番シビアに受け止めているのは、実は浅沼監督なのでは…。そう思ったことも、今シーズン一度や二度ではない。

 

グリッツ、クレインズともにプレーオフには進めず、しかもこの2連戦は無観客開催。「消化試合」といってしまえば、これほどその言葉が似合うシチュエーションもない。しかし、両チームとも少なくない費用をかけていて、開催のために動いてくれた関係者、遠征費を捻出するために動き回ったスタッフもいる。負けていい試合、価値のない試合など、どこにも存在しない。

 

「この2連戦は、われわれにとってのプレーオフ。選手にはそう言いました。2年目が終わろうとしている今は、やり抜くことで満足している段階ではありません。相手以上の集中力だったり、執念だったり、そういうものの先にグリッツの勝利がある。あす(13日)の試合は、グリッツの価値を決める試合です。映像配信で見てくださる人もたくさんいますし、いい試合で満足するのではなく、グリッツと日本のアイスホッケーの価値を上げる試合をしたいと思います」(浅沼監督)。

 

13日の今季最終戦は、試合開始が2時間早まった(13時パックドロップ)。グリッツは試合後、すぐに空港へと向かい、機上の人となる。手土産は「後期初勝利」か、それとも「12連敗」か。消化試合などではない、もうひとつのプレーオフ・ファイナルが、これから始まろうとしている。

(取材・山口真一)

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