5月1日。関東大学選手権Aグループの最終日は3試合が行われ、第1試合は法政-慶應義塾の5・6位決定戦だった。1ピリは0-0。2ピリ序盤の法政のペナルティを生かし、先制ゴールは慶應が挙げる。しかし、法政は試合半ばを過ぎた32分に追い付き、そこから3ピリにかけて8連続ゴール。1回戦の専修戦以来、約3週間ぶりの勝利を挙げた。

試合後、法政の外久保栄次監督は春大会をこう振り返った。「今日の2ピリ、3ピリは、この大会のベストの内容だったと思います。シュートブロックもできていたし、選手の動きに、戦う気持ちが見えました。大会は今日で終わりですが、最後の試合で勝ててよかったし、法政の現在地が見える大会だったと思います」

 

法政にとっては、4月16日の2回戦がひとつのトリガーだった。その1週間前、専修との1回戦は6-1で無難な勝ち上がり。2回戦はいわば準々決勝で、これに勝てばベスト4、Bグループの1位として、A1位の明治、C1位の早稲田、D1位の中央と決勝リーグを戦うことになっていた。

その2回戦、法政が対戦したのは、昨シーズン3冠(春の秩父宮杯、秋のリーグ戦、冬のインカレ)王者の東洋。結果は0-9の大敗だった。

 

東洋との試合は「まず気持ちで負けていた」と外久保監督はいう。「東洋に勝ちたい。選手はそういう気持ちで試合に臨んでいたと思います。勝ちたい…要は戦う前から相手を見上げていたということです。東洋のフィジカルなホッケーに対して、腰が引けていた部分もあったでしょう。0-9は、それを象徴するスコアだったと思います」

 

東洋に敗れ、法政は5位以下を決める順位決定戦に回ったが、4月24日の大東文化戦は相手が棄権してしまった。その前日の23日には、感染により大会前半を欠場していた日本体育大(1部Bグループ)と急きょ練習試合を組み、1-4で敗戦。法政とすれば意義を見いだしにくいカードではあったが、パックへの執念、1対1のバトルから声出しに至るまで、日体がスコア以上に法政を圧倒した。

 

日体との練習試合の翌日(4月24日)、法政は昼過ぎから東伏見で氷上練習を行なった。前述の通り、この日の第2試合として予定されていた大東戦は中止。続く第3試合も中止になり、法政が手を挙げてその時間の貸し出し枠を確保したのだ。

 

反省点の多かった日体戦の翌日。練習はなかなか終わらなかった。整氷時間を除いても、ゆうに3時間超。キャプテンのFW安藤永吉(4年)は、「ここまで長い練習をしたのは大学に入って初めて」と首をすくめた。練習メニューは、狭いエリアでのバトル、シュートで終わる対人プレー、さらにはテニスボールを用いてのシュートブロック。徹頭徹尾、「戦う」練習に終始した。

 

練習を終えた後、スタッフに話を聞いた。「シュートブロックの練習は、確かに珍しいですよね。でも、今のウチにとっては必要なこと。今日の練習は昼過ぎからで、時間帯がよかったというのもあります。こういう練習は、体と頭が活発に動く時間のほうがいい」と三浦孝之コーチ。外久保監督は、「昨夜の練習試合で出た課題を、今日の昼に練習することができた。こういう時間の使い方は普段なかなかできることではないので、貴重な経験になりました」。確かにこの2日間は、まるでミニ合宿のようだった。ちなみにその後、慶應戦2日前の氷上練習では、シュートブロックの練習はテニスボールではなくパックが使われている。

そして迎えた5月1日、法政はやっと自分たちで納得できる試合ができた。8-1で慶應に大勝した後、安藤キャプテンはこう話している。「東洋に0-9でボコボコにされて、恥ずかしかったですし、悔しかったです。(相手の)体を殺せなかったり、スティックの下にパスを通されて守り切れなかった。1ピリに点数が入らずメンタルが落ちて、そこに自分たちの反則が重なって連続失点。東洋のフィジカルにビビッていた部分もあります。この慶應戦の前には、シュートブロックのほかにも、横に並んだ7人に次々チェックしていく練習もしたんですよ」

外久保監督、三浦コーチが口を揃えたのは、「安藤がいる今季のうちに、戦う精神を法政に根付かせたい」ということだった。フォアチェックなど数字に表れないプレーが特徴の安藤は、昨季のインカレでは得点王。トップリーグ入りが内定した。駒大苫小牧高3年時にはキャプテンとして八戸インターハイ優勝に導き、法政入学後も練習量は常にチームトップだった。数年に1人のリーダーが在学している間に、どこを相手にしても気後れしないチームに変貌しようと考えているのだ。

連休明けの陸トレ期間には、世界選手権(ディビジョンⅠ・B)代表に選ばれたDF床勇大可(2年)も戻ってくる。法政は、今度こそ本当に変われるか。氷から離れるこの時期も、戦いは続いている。

(文・山口真一、写真・森健城)

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