5月1日、明治の4年ぶり優勝で幕を閉じた秩父宮杯・関東大学選手権。優勝の行方を決める最終日の明治-中央戦は6-5、PS戦で中央が勝ったが、仮に明治が3ピリに同点に追いつくことができなければ(5点目を奪うことができなければ)、優勝カップは東洋の手に渡っていた。延長戦があったため勝ち点の差はついたが、明治、2位東洋、3位の中央は、決勝リーグはいずれも2勝1敗。最後の最後まで行方がわからなかった。

優勝には届かなかったものの、各校の選手・監督が「秋は間違いなく一番強い」と声をそろえたのが東洋だ。

この春は、キャプテン石田陸(4年)と3年の木村俊太、2人の主力DFを日本代表に送り出した。秩父宮杯と世界選手権(ディビジョンⅠ・B)が重なることから、鈴木貴人監督は日本代表のスタッフから相談を受けたが、自チーム(東洋)の戦力ダウンより、石田、木村の経験値を上げることを優先させた。鈴木監督は「(2人が春大会に出ないことは)戦力を考えればもちろんマイナスですし、大学からは、本当にそれで大丈夫なのかと確認されました。それでも、彼らが努力して世界選手権に出るチャンスを得たのであれば、そこで経験を積んだほうが、本人にも、日本のホッケーにとってもいいことですから」と迷いはなかった。

守りの要を欠きながら、決勝リーグ初戦の明治戦は3連続ゴール、3-1で1ピリを終えた。しかし2ピリ以降はペナルティでリズムを失い、4-6の逆転負け。「(石田・木村の)2人がいなくてもやれることを証明したかったですが…。1ピリはすごくいいスタートで、でも、それが油断につながったのかもしれません」と、この大会でCマークを着けたDF武部太輝(4年)は振り返る。

それでもそこから中5日でチームを立て直し、2戦目は中央に7-2で圧勝した。「中央との試合の前に、FWとDFがそれぞれポジションごとに分かれてミーティングをしました。そこで役割を確認したことが結果につながったと思います」と武部。さらに5月1日の最終日では、早稲田を相手に4-0で完封。代表選考合宿でポーランド行きのメンバーに残れず、「(秩父宮杯の)大会前半はモチベーション的に難しかった」というGK佐藤永基(3年)は、「今日(早稲田戦)は久しぶりに自分らしいプレーができました。自分にとっては難しい大会でしたが、無失点で終えられてよかった」と満足そうだった。

「大会ですから、もちろん勝敗は大事です。でもそれ以上に、日々成長していくというのがチームのテーマ」と鈴木監督。「そういう意味では、明治に負けてから中央戦を迎えるまでの努力、(優勝争いの当該校ではない)早稲田戦でも集中力を持って完封と、選手はその時にできる努力をして結果を出してくれました。優勝には届きませんでしたが、選手の成長が見えた、いい大会だったと思います」。プレースピード、さらにはエンドゾーンで相手を置き去りにするチェンジオブペースと、プレーの質では相手より一枚上だった東洋。春の優勝を逃したことが、彼らの成長をむしろ加速させるかもしれない。

 


この春大会は、決勝リーグで勝ち点が並んだ場合、優勝争いの当該校間における「得点数」が順位を決めることになっていた。最終カードの明治-中央戦を迎えるまで、東洋は2試合(明治戦、中央戦)で計11点。明治が勝って3連勝となればもちろん明治の優勝だが、中央が10点を挙げて明治を5点以内に抑えれば、中央の逆転優勝だった。

明治戦で、中央は敢然とその数字にトライした。中央は11分、1年生のFW横須賀大夢が先制ゴールを挙げると、そこからはFW堤虎太朗(2年)のショータイム。16分、2ピリに入っても23分、32分、34分と4ゴールを決め、35分の時点で中央が5-3でリードする。これはもしかしたら…と思わせたが、その堤が37分にレイトヒットで退場になると、60分終了のブザーが鳴るまで中央は追加点を奪えない。3ピリを終えて5―5、この時点で明治に勝ち点1(+α)が与えられ、延長の結果を待たずに優勝が決定。それでも中央はPS戦を制し、優勝校に勝利して大会を終えた。

中央にとって惜しまれるのは、決勝リーグ2戦目に東洋に2-7、大量失点で敗れたことだ。最終的なスコアを見れば「大敗」だが、2ピリまでは1-2の1点ビハインド。中央に勝機があるとすればロースコアゲームだったはずで、それを考えると、2ピリまではむしろ中央ペースといってよかった。

この東洋戦、中央のシステムは「1-4」気味の「1-2-2」。相手のブレイクアウトに対してF1がアングリング、ニュートラルゾーンでパックを奪う戦法だった。狙い通り、2ピリまではパッシブな戦術が奏功したが、3ピリに入って得点を取るためにシステムを変えた。それが裏目に出ての大量5失点だった。

東洋戦、そして最終の明治戦を終えて、八戸了監督はこう総括した。「ニュートラルでつぶしていくトラップディフェンスは、選手がストレスを感じる戦術です。引いて守ることで気持ちまで引いてしまい、パックを奪ってもそこから攻めに転じられなかった。ただ最後の明治戦では、引く場面と攻めていく場面のバランスが、とてもよかった時間帯がありました。この部分を秋までに磨いていきたい」

中央にとっての光明は、1年生の活躍が目立ったこと。前述の横須賀は最終日に3つ目で結果を出し、FW角丸陸斗、DF木村裕翔も主力セットで存在感を示した。あとは、ケガで本来の動きができなかったキャプテン・FW権平優斗、DFの小原一海ら4年生がいかにリーダーシップを発揮するか。東洋を含め、「グッドルーザー」にとどまった彼らが秋に明治を凌駕する可能性は、けっして小さくはない。

(文・山口真一、写真・森健城)

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